農業環境技術研究所(つくば市)は二十七日、研究者が輸入した中国産の稲もみを許可外の土地で栽培したり、必要な検疫を受けずに持ち込んで栽培したりする二件の植物防疫法違反事例が見つかったと発表した。実験データの取得を優先するために故意に行われたという。 農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)など、農林水産省が所管するほかの三研究機関でも、同法に基づく検査を受けずに小麦などの種子計五・七キロを輸入していたことが判明した。故意ではないが、違反件数は六十八件に上る。いずれも、国内未発生の病害虫の発生は確認されていない。 農環研によると、五十代の男性上席研究員は二〇一〇~一一年、中国産稲もみを許可されていない研究所外の水田で栽培。〇九年には、来日した中国人の共同研究者が持参した玄米が未検疫と知りながら、研究所内で栽培させた。農環研は二十五日付で停職一カ月の懲戒処分とした。