「銃声が耳にこびりついて消えない」安倍元首相襲撃の一部始終 参院選担当記者の眼前で起きたこと 4日たって実感、涙止まらず 曇りがかった夏空の下、一人の大物政治家が演説を始めた。穏やかな表情で聴衆に語りかけるのは、憲政史上、最も長く政権を担った安倍晋三元首相(67)。目の前で取材をしていた私は、この演説がつつがなく終わることを当たり前のように待っていた。誰も想像し得ない、衝撃的な事件に遭遇するとは思いもしなかった。(共同通信=酒井由人) ▽自民候補劣勢伝えられ、予定を変更 7月8日、幼い長男を自宅近くの保育園に預けた私は、午前10時過ぎに奈良市の大和西大寺駅に着き、野党が擁立した新人候補の街頭活動の取材をしていた。 今年の参院選は例年になく暑かった。選挙戦も最終盤となり、連日の厳しい日差しに体力を奪われていた。私は街頭取材もそこそこに休憩を取るため近くの商業施設に入り、取材先の選挙関係者に電