バブル経済の余韻が残る1990年。若者にとって旅行といえば「もっぱら海外ばかり、国内なんて全然興味ナシ」という風潮だった時代に、ひとつの国内旅行情報誌が産声をあげた。リクルートの『じゃらん』だ。 決して追い風とはいえない環境のなか創刊した『じゃらん』はしかし、またたく間に多くの読者を獲得。それまで海外に向きがちだった若者の足を、国内に向かわせることに成功した。 では、『じゃらん』の成功を支えていたものとは何か?それは、リクルートの会議で徹底的にカスタマーインサイトを追究する「会議」にあった――同誌の創刊当初から関わり編集長として活躍、現在は独立して事業開発コンサルティングおよびプロデュースを手がける大庭広巳氏に、おおいに語っていただいた。 地域別から、興味別に。ユーザーの言語を使う。 武田 大庭さんは、NTT、NTT DoCoMo、キリンビール、ブリヂストン、松屋銀座など、さまざまな企業の