ホモ・サピエンスの遺伝的多様性をたどっていくと、アフリカからの大移動のはるか以前までさかのぼることができ、これらの多様性はどこから来たのかという謎が出てくる。 (PHOTOGRAPH BY REMI BENALI, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 人類進化の歴史の糸は複雑に絡まり合っている。初期人類の集団は、拡大し、移動し、互いに出会っては、ときに分岐し、ときに混ざり合っていたからだ。この糸を解きほぐすのは簡単ではないが、科学者たちは近年、現代人に見られる遺伝的多様性を利用して、過去にさかのぼることでモデルを改良してきた。 それでも科学者たちは、現代人にホモ族の共通祖先が枝分かれした時期よりはるかに古い遺伝的な要素があるという問題にぶつかっていた。一部の科学者は、ホモ・サピエンスがユーラシア大陸でネアンデルタール人やデニソワ人と交雑していたことを示す最近の証拠に触発され
インド、ダバの遺跡で発見された石器。約7万4000年前の超巨大火山の噴火による環境の激変を、この地の集団は生き残った可能性を示唆している。(COURTESY OF CHRIS CLARKSON) およそ7万4000年前、現在のインドネシア、スマトラ島の超巨大火山(スーパーボルケーノ)が大噴火を起こした。トバ噴火と呼ばれるこの出来事は、過去200万年で最大規模の火山噴火だった。数千キロ先まで火山灰を振りまき、幅100キロにおよぶ噴火口を出現させた。以来、噴火口は湖となっている。 この超巨大噴火が、世界的な寒冷化を引き起こしたとする説がある(トバ・カタストロフ理論)。火山灰やすすが空を覆い、南アジアでは長期にわたって森林が失われたというのだ。ただ、これが事実だとしても、インド中央部の人類は激しい環境変化の中を生き延びたとする研究成果が発表された。 インド、マディヤ・プラデシュ州にあるダバの発掘
気候変動。大人たちが子供の将来に危機をもたらしていること。世界のCO2排出量をあと10年で半分にすべきこと。牛肉の生産が大きな環境負荷をもたらすこと。日本の石炭火力発電の新設が世界から批判されていること。 これまで一部の関心がある人たちの話題でしかなかったこれらのことが、今週、一気に日本全国の「お茶の間」に届いたことに、筆者は興奮を隠せない。 9月23日にニューヨークで行われた国連の気候行動サミットは、小泉環境大臣効果により、日本のメディアから例外的な注目を浴びた。そして、日本のお茶の間に映し出されたのは、16歳のスウェーデン人少女の怒りのスピーチだった。 ほとんどの日本人にとって目の前に唐突に現れたこの少女、グレタ・トゥーンベリさんに対して、共感と反感の両面から、多くの反響が寄せられている。 今回初めてグレタさんを知った多くの人たちに対して、昨年からグレタさんに注目していた筆者が知ってほ
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