「この花の里親になってください」 学生服の女の子がそう言っているようだ。鮮やかなオレンジ色の花が印象的な表紙のこの本は、青森県立三本木農業高等学校動物科学科が行っている動物殺処分ゼロを目指す「命の花プロジェクト」の誕生を描いたノンフィクションだ。 美しい、生き生きと咲く花は、学生たちによる鎮魂の祈りと、決意の込められた花だ。彼女らは、この花を愛犬家の集まる場や、地域の施設などで配り、動物殺処分の現状を訴えている。 プロジェクトを始めるきっかけは、青森県動物愛護センターへの見学だった。2012年、当時同校2年生だった著者・向井愛美さんらが遠足気分で出かけたと いうその場所には、よく見かけるペットたちと何ら変わることのない姿の動物たちが収容されていた。だがしかし、彼らは死ぬのである。 「こんな施設、無駄なんです!」 彼女らが見学に行ったその日も、動物たちの殺処分は行われていたのだ。おそらくはい