名古屋大学の日比正彦教授らは、運動の制御などを担う小脳ができるのに必要な4つの遺伝子を見つけた。魚類が卵の中で個体となる発生時に働き、小脳の神経細胞を作る。ヒトの胎児でも同様の仕組みがあるとみられ、小脳が関わるとされる自閉スペクトラム症(ASD)の解明などにつながる。小脳には脳全体の8割程度の神経細胞が集まるとされ、運動の制御や学習などの機能を担う。近年ではASDとの関連でも注目されているが、
神戸大学大学院医学研究科生理学分野の 内匠 透 教授(理化学研究所生命機能科学研究センター客員主管研究員)、Chia-wen Lin研究員らの国際共同研究グループは、これまで世界的に利用されている特発性自閉症*1のモデルマウスと、その亜種とを比較解析することで、内在性のレトロウイルス*2の活性化が自閉症の感受性を上昇させることを明らかにしました。また、この亜種のマウスは記憶能力の低下を伴うことなく、自閉症の主症状によく似た行動異常を呈したことから、既存のモデルマウスよりも正確なモデルであることを見出だしました。 今後、自閉症の病態分類が進むことで、自閉症をはじめとする神経発達症*3の新たな治療戦略の創出が期待されます。 この研究成果は、3月7日に、Molecular Psychiatryにオンラインで公開されました。 ポイント広く使用されている自閉症モデルマウス、BTBR/J*4とその亜種
東北大学の大隅典子教授らの研究グループは、父親が高齢であることが生まれた子の行動やコミュニケーションの発達に影響を及ぼすことを動物実験で明らかにした。人間の子どもの発達障害の一因が父親の加齢である可能性を示唆する。その一方で研究結果は、父親の加齢が次世代に多様な個性や能力を与える源となりうることも示している。母親の卵子の質が加齢に伴い低下、子に染色体異常などをもたらす確率が高まることはよく知ら
千葉大学社会精神保健教育研究センターの橋本謙二 教授(神経科学)、大学院医学薬学府博士課程3年の蒲垚宇 氏らは、妊娠中の農薬グリホサートの摂取が、子どもの自閉症スペクトラム障害(※1 ASD: autism spectrum disorder)などの神経発達障害の病因に関係している可能性があることを示しました。病因が未解明となっているASDの予防法・治療法の開発の足掛かりになることが期待されます。本研究成果は、2020年5月11日(米国)に米国科学アカデミー紀要の電子版で公開されます。 研究の背景 ASDは代表的な神経発達障害ですが、その病因は未だ明らかにされていません。一方で、多くの疫学研究から、環境要因(農薬等の環境化学物質など)がASDの発症に寄与している可能性が指摘されています。2019年4月に英国BMJ誌に掲載された論文では、米国カリフォルニア州の農業地帯の人口ベースの症例対照研
受刑者らの更生支援に、動物との触れ合いで心身を癒やす「アニマルセラピー」を取り入れている刑務所や少年院がある。命の尊さを肌身で感じてもらい、自己肯定感や社会復帰への意欲をはぐくむ狙いだ。 「かわいい」「目、開いてないんだね」。手のひらの上で動く小さなハツカネズミの赤ちゃんに、受刑者から声が漏れた。 11月、富山刑務所(富山市)で初めて開かれたアニマルセラピー。65歳以上や障害のある受刑者ら18人が、富山市ファミリーパークの職員が連れてきたモルモットやウサギ、ハツカネズミと触れ合った。 エサをあげたり、聴診器で心音を聞いたりするうちに表情が和らぐ。「ハツカネズミの小ささに命の尊さを感じた」と受刑者の一人。「癒やしというのがピッタリ。ホッとした」と話した。 ■社会性養う一助に…
年をとった馬が、オーストラリアのニューサウスウェールズ州の発達障害の女の子を助けています。 15歳のレイチェル・ケリーは、馬によるセラピーを受けています。 「私は馬のサームのそばにいると、すごく落ち着いて、勇気も出るんです。」 そうレイチェルは言います。 「サームがそばにいないと、話すこともできなかったりします。」 しかし、サームから離れてるときもレイチェルは変わったと母親は言います。 「レイチェルはこれまでと全く違います。 本当のレイチェルが見えるようになったと思います。」 獣医のデポラ・アベンフェスは、発達障害の人たちに馬がもつ力が役に立つといいます。 「ここに来る人たちの多くは、言葉でのコミュニケーションに困難を抱えています。 馬にふれると自然に体を動かします。 そして、馬はそれに反応してコミュニケーションをするんです。」 デポラは、馬のサームがレイチェルが殻を破ることを助けたといい
23日午後1時ごろ、島根県浜田市金城町七条の障害者支援施設「いわみ福祉会桑の木園」で、催し中に馬が暴れてけが人が出ていると、来場者から119番通報があった。浜田署によると、0歳から80代の男女10人が転倒するなどして、頭や顔に軽いけがをした。 暴れた馬は、乗馬体験用に近くの施設から来た2頭のうちの1頭。署によると、ロープでつないでいた木の枝が折れ、馬が数十メートル離れた模擬店付近で暴れたという。
世界的に有名な、動物学者であり、発達障害の人として著名なテンプル・グランドン博士を迎えました。 グランドン博士は、畜産業界で仕事を始めたときに、自分が持つ見方や考え方が動物の思考や感情を理解するのを助けてくれたと言います。 グランドン博士は、動物のストレスを考慮した、もっとも人道的だと考えられている屠殺するためのシステムを設計しました。 グランドン博士は、発達障害の人を一括りにして考えないことが重要であるといいます。 「シリコンバレーの企業のトップは、おそらく発達障害の人に含まれます。 一方で、自分で服を着ることも出来ない人もいます。 それらの人、全てを同じように発達障害と言ってしまうので問題があるのです。」 オーストラリアのビクトリア州に農場を購入した24歳のダニエル・ルッツはグランドン博士のようになりたいと望んでいます。 ルッツは発達障害です。グランドン博士のようにルッツも動物と特別な
並んで歩く犬と飼い主(2016年9月24日撮影、資料写真)。(c)AFP/THOMAS KIENZLE 【7月20日 AFP】非常に人懐こい犬には、ある発達障害の人々と共通の遺伝的類似性があるとする研究論文が19日、発表された。ウィリアムズ症候群と呼ばれるこの発達障害は「自閉症の対極」とも呼ばれ、極端な社交性が特徴だ。 【特集】「人間の最良の友」ワンちゃん大集合 米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載された論文では犬およびウィリアムズ症候群の人々にみられる極端な社交性に関連した2種類の遺伝子の変異が指摘された。 今回の発見は、犬が数千年前にオオカミの祖先から枝分かれして家畜化した経緯についての新たな考察を示している。 研究では、飼い犬18匹と捕獲したハイイロオオカミ10匹を対象に、課題解決能力や人間に対する社交性について調べた。箱のふたを持ち上げてソ
要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チームの糸原重美チームリーダー、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の林悠准教授、東京大学大学院農学生命科学研究科の桑原正貴教授、安田光佑大学院生らの共同研究グループ※は、新たな機序に基づく「統合失調症[1]モデルマウス」の開発に成功し、このマウスの成熟個体に遺伝子治療を行うと、統合失調症に類似した症状が回復することを発見しました。 統合失調症は幻聴・妄想などの「陽性症状」、意欲の低下・感情の平板化などの「陰性症状」、記憶力・注意力・情報処理能力などの機能が低下する「認知機能障害」を主な症状とする精神疾患です。従来の治療薬は、陽性症状の治療には有効ですが、陰性症状と認知機能障害に対しては十分な治療効果が得られず、患者の社会復帰を妨げる要因となっています。また発症には、「NMDA型グルタミン酸受容体(NMDA
京都大学野生動物研究センターの施設「熊本サンクチュアリ」(熊本県)に、ダウン症のチンパンジーがいることを、平田聡・京大教授(比較認知科学)らのグループが確認した。21日、専門誌プリマーテスに発表した。世界で2例目の報告例という。 確認されたのはメスのカナコ(24歳)。生まれつき心房を隔てる壁がない心臓病を患い、生後1年の検査で白内障と診断され、緑内障も発症して7歳までに視力を失った。5歳ごろに体重増加が緩やかになり、健康なチンパンジーよりも小柄に育った。いずれもヒトのダウン症にみられる症状という。 カナコの血液を採取して調べると22番染色体が1本多い3本ある「22トリソミー」と確認。ヒトでは21番目の染色体が3本ある「21トリソミー」(通称・ダウン症)にあたるという。 けんかに巻き込まれても逃げられないため、ほかのチンパンジーとは一緒に生活するのは難しい。ただ、生活の質に配慮して、別のメス
世界初:一遺伝子変異の遺伝的リスクと父の加齢との関係性を説明 〜発達障害を理解するための遺伝子-環境因子相互作用の可能性について〜 自閉症スペクトラム障害や注意欠陥・多動性障害等の発達障害では、その症状が多様であることから多数の遺伝子および遺伝子-環境相互作用が絡み合う複雑な病因が想定されています。しかし、現時点ではその詳しいメカニズムについては明らかにされていません。 東北大学大学院医学系研究科の大隅 典子教授、吉崎 嘉一助教らは、遺伝子の発現を制御する因子Pax6の変異がリスク要因となり、父親の加齢が子孫の行動に影響を及ぼすことを明らかにしました。父親の高齢化の子孫に対する影響を明らかにするため、若齢(3ヶ月齢)あるいは高齢(12ヶ月齢)の父親マウスから生まれたPax6変異マウスを用いて網羅的行動解析を実施しました。その結果、若齢の父親マウスから生まれたPax6変異マウスが母子分離コミ
自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)などの研究チームが自閉スペクトラム症の特徴を持つニホンザルを確認したことが19日、分かった。遺伝子操作をされていない動物での報告例はなく、世界で初めての確認とみられる。人間の発症者で見つかった遺伝子変異もあった。 自閉スペクトラム症は自閉症やアスペルガー症候群などの発達障害の総称で、対人関係が苦手、特定の行動を繰り返すという特徴がある。詳しい原因は分かっておらず、ヒトの近縁であるサルの症例を詳しく調べることで、発症メカニズムの解明につながると期待される。成果は米科学誌電子版に発表された。
自閉症などの発達障害や統合失調症などの精神疾患の研究は、その発症要因や治療法の確立に向けて遺伝子や分子レベルで研究が進められ、微小管骨格や中心体関連のタンパク質の異常が精神疾患の発症に関与することが報告されているが、神経細胞の移動と精神疾患の発症の分子メカニズムの関連は良く分かっていなかった。 これまで東京薬科大学生命科学部の福田敏史講師、柳茂教授らの研究グループは、精神疾患関連タンパク質「DISC1」に結合する新規タンパク質「CAMDI」を発見していたが、その後の別の研究グループより、CAMD1遺伝子が重篤な精神疾患のリスク遺伝子である可能性が報告されるなど、CAMDIの異常が精神疾患様行動に関与する可能性が示唆されていた。 研究グループは今回、CAMDI遺伝子の欠損マウスを作成し、解析を行ったところ、同マウスでも発達障害の原因の1つと考えられている大脳皮質の神経細胞移動の遅延を観察した
トゥレット障害の発症メカニズム解明に新展開 −音声チック症状を呈する霊長類モデルを開発− 平成28年1月21日 国立研究開発法人 放射線医学総合研究所 韓国脳科学研究所 国立大学法人 筑波大学 学校法人 関西医科大学 国立大学法人 京都大学霊長類研究所 国立研究開発法人 理化学研究所 発表のポイント 若年層に0.1〜1%の割合で発症し、社会生活に大きな支障をきたすことがある神経発達障害 トゥレット障害で見られる音声チックの霊長類モデルを作出 音声チック発現に関わる脳部位と異常活動を霊長類モデルで特定 メカニズム理解に基づく治療法開発に期待 トゥレット障害は、咳払いや奇声などを発してしまう「音声チック」症状と、まばたきや顔しかめなどの動きを繰り返し行ってしまう「運動チック」症状が、共に1年以上にわたって継続する神経発達障害で、18歳未満に0.1〜1%の割合 ※1 で発症するとい
DNAサンプル。仏ナントの研究所で(2015年12月10日撮影、本文とは関係ありません)。(c)AFP/GEORGES GOBET 【1月26日 AFP】中国の科学者チームが25日、人間の自閉症の遺伝子を持ち、その症状を呈するサルを遺伝子操作で作製したとの研究結果を発表した。原因などの詳細がほとんど解明されていない疾患である自閉症の治療法開発への期待を高める成果だという。 遺伝子操作されたのはマカクザル。このサルは、同じジェスチャーを繰り返す常同行動や、不安を表す行動、社会的相互作用の欠如などの、人間の自閉症でみられるものと同様の行動を示すと、研究チームは論文に記している。 これは、人間の自閉症の原因と実現可能な治療法に関する研究を行うために、マカクザルを信頼性の高い動物モデルとして利用できることを意味し、研究に参加していない他の専門家らも、この快挙を歓迎している。 「今回の成果により、脳
印刷用PDF(623KB) 2015年12月10日 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター (NCNP) Tel:042-341-2711(総務部 広報係) 国立研究開発法人 理化学研究所 革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト 新世界ザルのコモン・マーモセットで 「ミラーニューロン」を世界で初めて発見 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:樋口輝彦)神経研究所(所長:武田伸一)微細構造研究部の一戸紀孝部長、鈴木航室長らの研究グループおよび国立研究開発法人 理化学研究所(RIKEN、埼玉県和光市、理事長:松本紘)脳科学総合研究センター(センター長:利根川進)高次脳機能分子解析チームの共同研究により、同じ動作を自分がしても他人がしても活動する「ミラーニューロン」を、新世界ザルのコモン・マーモセット(Callithrix
タンザニアのマハレ山塊国立公園で、京大の中村美知夫准教授が2011年に撮影した、障害のある赤ちゃんを抱く姉のチンパンジー(2015年11月11日入手)。(c)AFP/MICHIO NAKAMURA/KYOTO UNIVERSITY 【11月12日 AFP】タンザニアで野生のチンパンジーの母親が、生まれつき重度の障害がある子どもの世話をしていた。京都大学(Kyoto University)の研究チームが今週発表した報告書の中で明らかにした。チームは、この研究が人間社会においてどのようにソーシャルケアが進化していったのかを理解する助けになると期待している。 研究チームは、タンザニアのマハレ山塊国立公園(Mahale Mountains National Park)で2011年に、「重度の障害がある」チンパンジーの雌の赤ちゃんがある集団内で生まれたことを発見し、約2年間にわたりその集団の行動を観
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