私は日本農薬学会に入っている。この学会、農薬関係者ではない私でも、とても居心地がいい。活動が、「わが国の農薬科学の発展とレベルの向上」と「農薬の安全性や環境影響に関する国民への理解促進に向けた社会的役割」という二つの軸からなっているので、業界関係者だけの“唯我独尊”になっていないのだ。大会のほか、七つの研究会が各々、年1回小集会を開くので、私も都合がつけば行って勉強している。 社会における食料生産をどう位置づけるか、リスクを一般市民にどう伝えていくか。私にとっては、いろいろな人の話を聞きながら自分の考えを組み立て直す場、という感じだ。 「環境を守る農業」と最近よく聞くけれど、私にはとても傲慢な言葉に思える。農業は、食料生産のために土壌を変え単一の作物を植えより多い収穫を目指す、徹頭徹尾、人為的な産業だ。多くの生き物を犠牲にして、私たちは生きている。人の存在そのものが、環境破壊なのだ。 その