ブックマーク / www.titech.ac.jp (35)

  • 「並行世界でタイムリープを繰り返す」ことで効率的なシミュレーションを可能にするソフトウエアツールを開発・公開 長時間現象を短時間の計算で容易に観察可能に

    要点 PaCS-MDシミュレーションを容易に実行できるソフトウエアツールPaCS-Toolkitを開発・公開 Gタンパク質共役型受容体から化合物が解離していく過程のシミュレーションでは1,000億分の1の時間短縮を実現 PaCS-Toolkitの利用によって、計算による生体分子の働く仕組みといった基礎研究・薬剤の設計や効果の予測などの応用研究を加速することが期待 概要 東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の生澤真司大学院生(研究当時)、堀立樹大学院生、Wijaya Tegar(テガル・ウィジャヤ)大学院生らとTran Phuoc Duy(チャン・フ・ズイ)助教、北尾彰朗教授は、多数のMDシミュレーション[用語1]を実行し、上手く行った状態からシミュレーションを再実行するサイクルを繰り返すことで、長時間現象を短時間の計算で観察することができるPaCS-MDシミュレーション[用語2]を容易

    「並行世界でタイムリープを繰り返す」ことで効率的なシミュレーションを可能にするソフトウエアツールを開発・公開 長時間現象を短時間の計算で容易に観察可能に
    agrisearch
    agrisearch 2024/05/15
    「PaCS-MDシミュレーションでは、同時並行に実行する複数のシミュレーションで観察された中で、最も上手く行った瞬間を複数選び、それらの瞬間に時間を巻き戻し、少し条件を変えて再度シミュレーションを行う…」
  • 陽子を含まない原子核の痕跡を原子炉で探す 原子核物理×放射化学の新手法で「0番元素」を探求

    要点 中性子だけから構成される多中性子原子核の存在の実証研究が近年活発。 多中性子原子核の一種であるテトラニュートロンを原子炉で探索する手法を確立。 炉心内で中性子による放射化が起こりにくい試料の選定が鍵となった。 概要 東京工業大学 理学院 物理学系の藤岡宏之准教授と友松竜太郎学士課程4年(研究当時)、京都大学 複合原子力科学研究所および同大学院工学研究科の高宮幸一教授からなる研究チームは、中性子だけから構成される多中性子原子核を探索する手法として、原子炉の燃料に含まれるウラン235の核分裂における多中性子原子核の放出の有無を調べる実験の原理実証に成功した。 ストロンチウム88を同位体濃縮した炭酸ストロンチウムの試料を原子炉の炉心に長時間挿入し、照射後の試料にストロンチウム91が含まれているかどうかを高純度ゲルマニウム検出器で調べた。その結果、有意な信号は観測されず、ウランの核分裂におけ

    陽子を含まない原子核の痕跡を原子炉で探す 原子核物理×放射化学の新手法で「0番元素」を探求
  • 極限原子核の謎を解く要となる新たな酸素同位体の発見 最後の二重魔法数核候補は二重魔法数核ではなかった

    要点 非常に稀に現れる安定性(二重魔法数)が予測された酸素同位体(酸素28)を初めて観測。 酸素28では二重魔法性が消失していることが明らかになった。 世界初となる4個の中性子を同時に測定する技術により観測が初めて可能に。 中性子数が非常に過剰な極限原子核の構造、宇宙での元素合成過程や中性子星の構造の解明につながると期待。 概要 東京工業大学 理学院 物理学系の近藤洋介助教と中村隆司教授、理化学研究所 仁科加速器科学研究センターの笹野匡紀専任研究員、大津秀暁チームリーダー、上坂友洋部長、九州大学の緒方一介教授らの国際共同研究チーム※は、二重魔法数核[用語1a]の候補と考えられてきた酸素同位体[用語2]、酸素28の観測に初めて成功した。 原子核を構成する陽子や中性子の個数が魔法数[用語1b](2、8、20、28、50、82、126)となっている場合、その原子核はより安定な性質を示す。特に陽子

    極限原子核の謎を解く要となる新たな酸素同位体の発見 最後の二重魔法数核候補は二重魔法数核ではなかった
  • 受精卵から体の様々な細胞や組織に分化する仕組みの解明~エピゲノムの研究~ — 木村宏 顔 東工大の研究者たち vol.35

    vol. 35 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 教授 木村宏(Hiroshi Kimura) からだを作っている細胞はみな同じゲノムをもつが、遺伝子の働きが制御されることで細胞はさまざまな性質をもつようになる。このメカニズムの解明に取り組んでいるのが木村宏教授だ。 ヒトの身体は約30兆個もの細胞で構成されている。心臓、神経、皮膚などそれぞれの細胞は形や大きさ、働きなどが大きく異なるが、元をたどれば、受精卵というたった1個の細胞に行き着く。すべての細胞は実は同じゲノム(遺伝情報)をもっているのだ。 ではなぜ、同じゲノムであるにもかかわらず、異なる細胞に分化するのか。それはゲノムに含まれる全ての遺伝子のうち、細胞ごとに働いている遺伝子の種類や量が異なるからだ。細胞は遺伝子のオン・オフを制御し、必要な遺伝子を、必要なときに、必要なだけ働かせているのである。この遺伝子のオン・オフを制

    受精卵から体の様々な細胞や組織に分化する仕組みの解明~エピゲノムの研究~ — 木村宏 顔 東工大の研究者たち vol.35
  • 麹菌A. oryzaeの進化と家畜化の関係 大規模比較ゲノム解析で新たな仮説を提唱

    要点 日全国から収集した麹菌82株の全ゲノムレベルの多様性を解読 祖先株間で複数の有性生殖が起こっていたことが明らかに 人間による家畜化が麹菌のゲノム進化に及ぼす影響を提唱 概要 東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の山田拓司准教授、渡来直生大学院生らは、ぐるなびとの共同研究により、日全国5社の種麹屋[用語1]から収集した麹菌「Aspergillus oryzae」(アスペルギルス・オリゼー=ニホンコウジカビ、以下A. oryzaeと表記)の大規模比較ゲノム解析[用語2]を通じ、人間による家畜化と麹菌のゲノム進化の関係性について新たな仮説を提唱した。 麹菌A. oryzaeは長らく無性生殖のみを行うと考えられてきたが、ゲノム解析の結果、A. oryzaeの祖先株[用語3]間で複数の有性生殖[用語4]が起こっていたことが明らかになった。一方で、人間による家畜化の過程では有性生殖は起こ

    麹菌A. oryzaeの進化と家畜化の関係 大規模比較ゲノム解析で新たな仮説を提唱
    agrisearch
    agrisearch 2022/10/30
    「人間の家畜化によってA. flavusが無毒化されA. oryzaeが生まれたとする説があった…今回の研究によってアフラトキシン合成遺伝子クラスターと全ゲノムの系統は無関係であることが明らかとなり、この説は否定された」
  • 機械学習の進化が、「レンズ」というカメラの当たり前を覆す 次世代イメージセンシング・ソリューション開発を加速

    要点 最先端機械学習モデル「Vision Transformer」に基づく、新たなレンズレスカメラの画像再構成手法を提案 提案した画像処理技術は高速に高品質な画像を生成できることを実証 小型・低コストかつ高機能であるため、IoT向け画像センシング等への活用に期待 概要 東京工業大学 工学院 情報通信系の潘秀曦(Pan Xiuxi)大学院生(博士後期課程3年)、陈啸(Chen Xiao)大学院生(博士後期課程2年)、武山彩織助教、山口雅浩教授らは、レンズレスカメラの画像処理を高速化し、高品質な画像を取得できる、Vision Transformer(ViT)[用語1]と呼ばれる最先端の機械学習技術を用いた新たな画像再構成手法を開発した。 カメラは通常、焦点の合った画像を撮影するためにレンズを必要とする。現在、IoT[用語2]の普及に伴い、場所を選ばず設置できるコンパクトで高機能な次世代カメラが

    機械学習の進化が、「レンズ」というカメラの当たり前を覆す 次世代イメージセンシング・ソリューション開発を加速
    agrisearch
    agrisearch 2022/05/13
    「最先端機械学習モデル「Vision Transformer」に基づく、新たなレンズレスカメラの画像再構成手法を提案」
  • 恐竜を絶滅させた小惑星の痕跡を衝突クレーター内に発見 全球に降り注いだイリジウムを含む衝突ダスト

    要点 約6,600万年前の巨大クレーター内から、小惑星由来の元素を高濃度で含む地層を発見 イリジウムを多く含むダストは衝突により形成された堆積物の最上部に分布 大規模衝突による全球的な物質の拡散過程を理解するための重要な証拠 概要 東京工業大学 理学院 地球惑星科学系の石川晃准教授、海洋研究開発機構 高知コア研究所の富岡尚敬主任研究員、東京大学 大学院理学系研究科の後藤和久教授、東邦大学 理学部の山口耕生准教授は、ブリュッセル自由大学のSteven Goderis(スティーブン・ゴデリス)教授、イタリア・パドバ大学の佐藤峰南博士らとの国際共同研究により、約6,600万年前の白亜紀/古第三紀境界[用語1]に形成されたメキシコのチチュルブ・クレーター内部の掘削試料を対象に、小惑星物質中に特徴的に含まれる元素(イリジウム[用語2])の化学分析を行い、小惑星物質が衝突由来の堆積物最上部に濃集してい

    恐竜を絶滅させた小惑星の痕跡を衝突クレーター内に発見 全球に降り注いだイリジウムを含む衝突ダスト
  • 複数の原子からなる高次の物質の周期律を発見 未知物質の探索に活用できる新たな周期表の誕生

    要点 分子などの形状と性質を予測する新たな理論モデルを開発 複数の原子からなる高次の物質の間に新たな周期律を発見 まだ確認されていないナノ物質の存在を予見 概要 東京工業大学 科学技術創成研究院の塚孝政助教、春田直毅特任助教(現 京都大学 福井謙一記念研究センター 特定助教)、山元公寿教授、葛目陽義准教授、神戸徹也助教らの研究グループは、コンピューターシミュレーションを用いた理論化学的手法[用語1]に基づき、分子などの微小な物質(ナノ物質)が持つエネルギー状態[用語2]を記述する「対称適合軌道モデル[用語3]」を開発した。このモデルは、ナノ物質が持つ様々な幾何学的対称性[用語4]に着目することで、それらの形状や性質などを正確に予測する。さらに、この理論モデルにより、複数の原子からなる高次の物質の間にも元素のような周期律が存在することを発見し、この周期律を元素周期表[用語5] と類似の「ナ

    複数の原子からなる高次の物質の周期律を発見 未知物質の探索に活用できる新たな周期表の誕生
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    agrisearch 2019/09/04
    「ナノ物質の周期表」
  • 循環共生圏農工業研究推進体 キックオフシンポジウム

    世界の「生産性至上主義」による「搾取(収奪)型近代文明・農業科学」は「環境土壌汚染・土壌機能の低下・地球環境(生態系)物質循環系の破壊」、すなわち、「地球温暖化と生物多様性減少」の二大環境問題の根源の一つとなっています。この問題を解決するために、「循環共生圏農工業研究推進体」は東京工業大学の最先端科学技術を領域横断的に総動員し、畜産・畑作複合体をモデルとしたSDGs時代の循環型農業の基盤技術および社会制度設計を確立を産学連携で取り組んでまいります。

    循環共生圏農工業研究推進体 キックオフシンポジウム
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    agrisearch 2019/08/23
    「畜産・畑作複合体をモデルとしたSDGs時代の循環型農業の基盤技術および社会制度設計」
  • 藻類のオイル生産を制御する因子を同定 有用脂質生産の自在制御に向け大きな一歩

    要点 藻類はリンや窒素などの欠乏時に細胞内にオイルを高蓄積 藻類で栄養欠乏時に起こるオイルの高蓄積を制御する制御因子を発見 制御因子の改変により、オイル生産を自在に制御する仕組みへの活用に期待 概要 東京工業大学 生命理工学院のNur Akmalia Hidayati(ヌル・アクマリア・ヒダヤティ)博士後期課程3年、堀孝一助教、太田啓之教授、下嶋美恵准教授、岩井雅子特任助教と京都大学 福澤秀哉教授、東北大学 大学院情報科学研究科 大林武准教授、かずさDNA研究所 櫻井望チーム長(現所属・国立遺伝学研究所)らの研究グループは、バイオ燃料をはじめとする有用脂質生産に活用が期待される藻類の一種「クラミドモナス[用語1]」で、リンや窒素の栄養欠乏時に起こるオイルの蓄積を制御する因子の同定に成功した。またこの制御因子は、特に栄養欠乏時の細胞内にオイルが大量に蓄積する時期に機能する主要な制御因子である

    藻類のオイル生産を制御する因子を同定 有用脂質生産の自在制御に向け大きな一歩
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    agrisearch 2019/08/23
    2019/7/31 「クラミドモナス[用語1]」
  • ほぼ全ての脊椎動物に共通するフェロモン受容体を発見 1細胞-1受容体ルールを破るフェロモン受容体 | 東工大ニュース | 東京工業大学

    要点 種間での共通性がないというフェロモン受容体のこれまでの定説を覆す シルル紀の祖先から受け継いだフェロモン受容体を発見 脊椎動物のフェロモン受容の起源や進化の解明に大きな期待 概要 東京工業大学 生命理工学院の二階堂雅人准教授と鈴木彦有大学院生(研究当時:博士後期課程、現:日バイオデータ)、バイオ研究基盤支援総合センターの廣田順二准教授、生命理工学院の伊藤武彦教授が中心の研究グループは、115種におよぶ生物種の全ゲノム配列を網羅的に解析して、ほぼ全ての脊椎動物が共有する極めて珍しいタイプのフェロモン受容体遺伝子を発見しました。 一般的に、フェロモンやその受容体は多様性が大きく、異なる種間での共通性は極めて低いことが知られています。しかし、今回新たに発見された遺伝子は、古代魚のポリプテルスからシーラカンス、そしてマウスなどの哺乳類におよぶ広範な脊椎動物で共通であるという驚くべき特徴を備

    ほぼ全ての脊椎動物に共通するフェロモン受容体を発見 1細胞-1受容体ルールを破るフェロモン受容体 | 東工大ニュース | 東京工業大学
  • オイル生産性が飛躍的に向上したスーパー藻類を作出 バイオ燃料生産における最大の壁を打破

    要点 藻類のオイル生産性向上を阻害していた課題を解決 オイル生産と細胞増殖を両立しながらオイル生産性を飛躍的に向上 バイオ燃料生産の実用化への道を拓く 概要 東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の福田智大学院生(研究当時)、平澤英里大学院生(研究当時)、今村壮輔准教授らの研究グループは、藻類で“オイル生産”と“細胞増殖”を両立させることにより、オイル生産性を飛躍的(野生株と比べ56倍)に向上した藻類株の育種に成功した。藻類がオイルを合成・蓄積する条件は、藻類の増殖に適さず“オイル生産”と“細胞増殖”は相反するため、これまで藻類バイオ燃料生産実現の大きな障壁になっていた。 研究グループは、オイル生合成遺伝子の一つGPAT1の発現を強化させることで、「オイル生産」と「細胞増殖」が両立することを発見した。今回の発見は、藻類でのオイル生産性向上における最大の課題を根的に解決したと

    オイル生産性が飛躍的に向上したスーパー藻類を作出 バイオ燃料生産における最大の壁を打破
    agrisearch
    agrisearch 2018/09/10
    「研究グループは、オイル生合成遺伝子の一つGPAT1の発現を強化させることで、「オイル生産」と「細胞増殖」が両立することを発見した。」
  • 研究動画「再生可能エネルギーを作る人工光合成」を公開

    植物の光合成のように、太陽の光をエネルギーに変換する「人工光合成」について、その仕組みや最新の研究成果を分かりやすくまとめた動画(5分間)を公開しました。 石油や石炭などのエネルギー資源の枯渇や、CO2排出などの地球温暖化問題の観点から、クリーンかつ再生可能エネルギーを手に入れることは喫緊の課題です。人工光合成は、光触媒を用いて水からエネルギー貯蔵が容易な水素を作り出すことが可能であり、しかも変換時にCO2を排出しません。 理学院 化学系の前田和彦准教授による研究成果の一つ、高い安定性をもち太陽光を効率的に吸収できる光触媒「複合アニオン化合物」の発見を含め、人工光合成についてご紹介していますので、ぜひご覧ください。

    研究動画「再生可能エネルギーを作る人工光合成」を公開
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    agrisearch 2018/09/10
    2018/8/20 光触媒「複合アニオン化合物」
  • 植物はどのようにして眠るのか 植物が夜に光合成の酵素を眠らせるしくみを解明

    要点 酸化還元制御は明・暗に応じて光合成をオン・オフするスイッチ機能 オフ側で働く分子機構を発見、夜間の糖代謝を抑える省エネなしくみを解明 環境適応型作物の設計など応用研究への展開に期待 概要 東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の吉田啓亮助教と久堀徹教授らの研究チームは、植物が夜間に光合成に関わる酵素をオフにするしくみを解明した。朝になって植物が光合成を始める際には、タンパク質分子の酸化と還元の切り替え機構である“レドックス制御[用語1]”の働きで光合成の糖代謝を担う酵素群が還元され、光合成機能が活性化される。この“オン”側のスイッチのしくみは古くから知られていたが、夜になったらどのようにして“オフ”にするのかは明らかにされていなかった。吉田助教らは、光合成の酵素群を酸化する(スイッチオフにする)分子機構を明らかにした。この研究成果は、植物がどのようにして夜間に光合成の糖

    植物はどのようにして眠るのか 植物が夜に光合成の酵素を眠らせるしくみを解明
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    agrisearch 2018/09/10
    2018/8/15 「TrxL2を介したタンパク質酸化システム…昼夜サイクルを繰り返す陸上環境に適応するために、巧妙な酵素のオン・オフの切り替えスイッチを進化の過程で獲得したと考えられる」
  • 新触媒で糖由来化合物から欲しいものだけを合成―バイオマス資源から有用化成品製造への応用に期待―

    要点 リン酸セリウム触媒で、糖由来化合物から有用化合物(アセタール化合物)のみを合成することに成功 固体触媒のため、反応後の分離回収が簡易で再利用可能 16種の化合物の合成に適用可能 概要 東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の原亨和教授と鎌田慶吾准教授らは、リン酸セリウム(CePO4)[用語1]触媒が他の触媒とは大きく異なり、糖や炭水化物から生成される5-ヒドロキシメチルフルフラール[用語2]から、有用なアセタール化合物[用語3]のみを合成できることを発見しました。 触媒を用いることで、様々なアセタール化合物の合成に応用できることがわかりました。CePO4触媒上に近接する2つのサイト(ルイス酸と塩基)がそれぞれ異なる反応分子を活性化することで、高い触媒性能が発現することが示唆されます。 構造を制御された2つ以上の活性サイトをもつ多機能触媒の中でも、新しい酸・塩基固体

    新触媒で糖由来化合物から欲しいものだけを合成―バイオマス資源から有用化成品製造への応用に期待―
  • アフリカツメガエルから新たながん抑制戦略を発見―ヒトのがん抑制ターゲット開拓に期待―

    要点 多くの動物が持つがん抑制遺伝子・CDK阻害因子群がアフリカツメガエルでは高頻度で変異していることを発見 がん発生率の低いアフリカツメガエルには、CDK阻害因子群以外でがんを抑制する機構が備わっている可能性があり、その候補遺伝子の1つを発見 アフリカツメガエルのCDK阻害因子群の遺伝子は不安定で、いまだにゲノムが変化しつつあることを示唆 概要 アフリカツメガエルは、発生過程研究や細胞周期研究などの生物学分野で欠かせないモデル生物として全世界で用いられており、昨年には全ゲノム解読に成功した。 東京工業大学生命理工学院の田中利明助教らの研究グループは、アフリカツメガエルのゲノムで細胞増殖を直接制御する細胞周期の制御関連遺伝子、特にがん抑制遺伝子として知られるCDK阻害因子群を調べ、他の動物種では有りえないほど不安定であり、多数の変異が存在することを発見した(図1)。 しかしながら、アフリカ

    アフリカツメガエルから新たながん抑制戦略を発見―ヒトのがん抑制ターゲット開拓に期待―
  • ほどほどの炎症が大切―組織の再生と炎症の意外な関係を解明―

    要点 魚類はさまざまな組織を再生できる驚異的な能力を持つ マクロファージを欠損するゼブラフィッシュ変異体はインターロイキン1βの亢進と過度の炎症によって、再生細胞が細胞死を起こす 過剰な炎症が細胞死を起こす一方、炎症そのものも組織再生の開始に必要 組織の炎症応答は「諸刃の剣」として、組織再生を制御している 概要 炎症[用語1]は、あまりありがたくないものと考えられてきたが、炎症と組織再生の意外な関係が明らかになった。東京工業大学生命理工学院の川上厚志准教授らの研究グループは、ゼブラフィッシュを用いた解析により、組織再生が起こるにはちょうど良いレベルの炎症が重要であることを明らかにした。 川上准教授らは以前の研究で、マクロファージ[用語2]などの免疫細胞を欠くゼブラフィッシュ変異体[用語3]は再生細胞が細胞死を起こして組織を再生できないことを発見した。今回、細胞死の誘導メカニズムを調べたとこ

    ほどほどの炎症が大切―組織の再生と炎症の意外な関係を解明―
  • 大量のオイルを生産する“最強藻類”の秘密を解明―バイオ燃料の実用化に向け有力な手がかり得る―

    要点 バイオ燃料生産に最有望の藻類「ナンノクロロプシス」はオイルを高蓄積 細胞内小器官である油滴の表面で、オイル合成を行う仕組みを発見 油滴の表面を活用した形質改変により、オイルの量的・質的改良に期待 概要 東京工業大学 生命理工学院の信澤岳特任助教、太田啓之教授らと情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 ゲノム進化研究室の黒川顕教授、森宙史助教らの研究グループは、バイオ燃料生産に最有望とされるオイル生産藻の一種「ナンノクロロプシス[用語1]」の突出して高いオイル生産能力を可能にしている仕組みを解明した。生物が作り出すオイルは油滴[用語2]とよばれるオイル蓄積に必要な細胞内構造に蓄積される。今回、ナンノクロロプシスが持つ高いオイル生産能力には、この油滴の表面で直接的にオイル合成を行う仕組みが重要な役割を果たしていることを発見した。しかもこの仕組みは二次共生[用語3]とよばれる複雑な進化過

    大量のオイルを生産する“最強藻類”の秘密を解明―バイオ燃料の実用化に向け有力な手がかり得る―
    agrisearch
    agrisearch 2017/03/02
    「ナンノクロロプシス」(Nannochloropsis)
  • プラズマ照射により植物細胞へのタンパク質導入に成功―品種改良や開花コントロールへの応用に期待―

    概要 東京工業大学 科学技術創成研究院の沖野晃俊准教授と農業・品産業技術総合研究機構の柳川由紀特別研究員、光原一朗主席研究員は共同で、大気圧低温プラズマを用いて植物細胞にタンパク質を導入することに成功した。二酸化炭素または窒素で生成した大気圧低温プラズマをタバコ葉に数秒照射した後、タンパク質を含む溶液に浸すと、タンパク質がタバコ葉の細胞内に入ることを確認した。シロイヌナズナの葉とイネの根の細胞にも同様の方法でタンパク質を導入した。 この技術は植物体に特別な前処理をする必要がないので、前処理の問題からこれまでタンパク質導入が不可能であった植物種や組織にも広く利用できる。また、導入するタンパク質自体にも特別な処理が不必要なので、実際の栽培環境で使える。今後はゲノム編集[用語1]による品種改良、開花誘導タンパク質による開花コントロール、植物の機能コントロールなどへの展開が期待される。 この成果

    プラズマ照射により植物細胞へのタンパク質導入に成功―品種改良や開花コントロールへの応用に期待―
    agrisearch
    agrisearch 2017/02/20
    「シロイヌナズナの葉とイネの根の細胞にも同様の方法でタンパク質を導入した」
  • 硫化水素に応答して遺伝子発現を調節するタンパク質を発見―硫化水素バイオセンサーの開発に道―

    要点 地球で最初に光合成を始めた細菌は、硫化水素を利用していたと推測 硫化水素は哺乳類で、細胞機能の恒常性維持や病態生理の制御に関わるが、詳細なシグナル伝達機構は不明 硫化水素に応答して遺伝子発現を調整するタンパク質を紅色細菌から初めて発見 概要 東京工業大学 生命理工学院の清水隆之大学院生(博士課程)と、バイオ研究基盤支援総合センター・地球生命研究所の増田真二准教授らの研究グループは、紅色細菌[用語1]から、硫化水素に応答して遺伝子発現[用語2]をコントロールする新たなタンパク質「SqrR」を発見した。 このタンパク質を欠損した紅色細菌は、硫化水素濃度に応じた光合成生育が不全になることから、初期型の光合成の調節に重要と考えられる。このタンパク質は、特定の2つのアミノ酸間の架橋反応により外界の硫化水素濃度をモニターしていることがわかった。「SqrR」の機能解析は、硫化水素認識システムの分子

    硫化水素に応答して遺伝子発現を調節するタンパク質を発見―硫化水素バイオセンサーの開発に道―