公開から1年以上たった現在も上映が続いている映画『この世界の片隅に』。アニメ史に詳しい岡田斗司夫氏は「ジブリ映画に対する強烈なアンサーとなる画期的な作品」といいます。そしてその新しさはビジネスモデルにも及んでいます。岡田氏が「これから日本のアニメ業界には未曾有のゴールドラッシュがやってくる」という理由とは――。 戦争に負けたとわかった途端、すずだけは怒り出す 前編では、アニメーションとしての『この世界の片隅に』について語りました。今回は『この世界の片隅に』の深層構造、そして制作プロセス自体が、ジブリに対するアンサーになっていることを解説していきましょう。 まずは、深層構造から。 映画の冒頭では、森永のチョコレートの看板が出てきますし、街はクリスマスで賑わっていました。それが戦争が激しくなるにつれ、豊かな社会からどんどんモノがなくなっていく。それでも、すずたち庶民は工夫して代用食をつくったり