珍しいレシピ本の書評集。 評するというよりも、料理の本をダシにして、おいしい感情を共有するエッセイだね。著者は食のスタイリスト、料理本を製作するいっぽうで、古今東西のレシピ本を読み漁り、作り、食べて、紹介する。 ロングセラーから隠れた名著まで発掘してくる。それぞれの本から定番のレシピを紹介し、再現してくれる。ちょい昔がターゲットなので知らないものばかり。「こんな本があったのか」と驚くようなテーマがざくざく。 たとえば、一冊まるごと『オムレツの本』。フランスからの翻訳もので、昭和45年に出ている。プレーンだけで、「プレーン・オムレット」「ムースリーヌ・オムレット」「ジャーマン・オムレット」「イタリアン・フリッタータ」「オムレット・フォンダント」「オムレットスーフレ」と6種類ある。これに野菜、きのこ、肉、魚介を組み合わせ、しめて300種類が紹介されているそうな。 あるいは、講談社が昭和54年に