「“ナントカNo.1”みたいな、雑誌なんかでよく見出しを飾る数字をどう面白くつくるか。それが僕の仕事でした」 おおらかな笑顔でそう語りはじめたのは、山燕庵(さんえんあん)の杉原晋一さん。農業の世界にデザインの発想を持ち込んでヒット商品を飛ばし続ける、「元サラリーマン農家」だ。 彼がもともと取り組んでいたのは、人にモノを買ってもらうため、あの手この手をつくすマーケティング・リサーチの世界。とにかく数字と向き合い続ける日々。 一見、バリバリと充実したキャリアを歩んでいるように見えた杉原さんが、生き方を大きく変えていくきっかけになった、生活に訪れた異変とはーー。 自分を取り戻す物語 最近、何かを「ほしい」と思ったことはあるだろうか? 逆に何かを「ほしくない」と思ったことは? そして、そんな自分の気持ちに「本当だろうか」と疑問を持ったことは…? 世の中にモノや情報が溢れる今、目の前の感情にさえ自信