関東某所の寂れた私鉄駅前。事前に“指定暴力団二次団体幹部候補”と聞いていた記者は、それなりに緊張して男性の到着を待っていた。だが、程なくして現れたのは、10年落ちの古い軽自動車に乗った四十代のくたびれた男性だった。 「あ、どうぞどうぞ。狭い車で申し訳ない」 なるほど、この男性は“使いぱしり”なのか……と疑わなかったが、その男性こそが幹部候補の山崎氏(仮名)であることが判明し、思わず仰天した。幹部候補である男性は、三十代で複数の飲食店を立ち上げ、今ではコンサル会社も経営するビジネスマン、いわば“インテリヤクザ”であるとも聞いていたが、上下ジャージにサンダル姿で軽自動車の運転席に座る山崎氏は、どうみても普通のおじさんだ。 彼が経営する飲食店の事務所内に入ると、照れ臭そうにこう話した。 「ヤクザらしい格好をしなきゃって思うけどね、見栄張ってれば親に目をつけられ、逆に食われて(タカられて)しまう。