東京で百貨店業界を取材していると、店内のにぎわいに「景気のよさ」を感じることが多い。ところが今年の百貨店の閉店数は、リーマン・ショックの影響が色濃く出た2010年に肩を並べる。その大半が地方の店という。政権は「地方経済は明るくなった」とうたっていたはずだ。何が起きているのだろうか。 北陸新幹線で3時間足らず。富山県第2の都市、高岡市への東京からの「距離」は、駆け出しの記者時代、県内に赴任していた15年前より約1時間縮まった。だが、久々に初任地に降りたって感じたのはそのころより人が少ない静かさだ。 JR高岡駅から歩いて5分ほどにある地元唯一の百貨店、大和(だいわ)高岡店は8月下旬で75年間の営業を終える。正面玄関には「閉店セール」の貼り紙。「なんかさみしいやちゃね。こんなものいっぱい貼られて」。年配の女性客2人は、こう話しながら店を後にした。 地元では、「包装紙を持っていることがステータス」