東南アジアの大国、インドネシア。経済成長による中間層の台頭で個人消費が拡大し、若者たちが高級ショッピングモールで日本料理を楽しむ光景も定着してきた。一方、昔ながらの味をかたくなに守る中華料理店が、首都ジャカルタの下町にある。豚肉を宗教上禁止しているイスラム教徒が9割をしめる同国で、苦労を重ねて看板料理の「焼き餃子」を約40年間、提供し続けてきた。中国系の華人ばかりではなく、日本人の駐在員や出張者も常連客として、とりこにしてきた逸品餃子。愛され続ける「知る人ぞ知る」名店を紹介する。 (ジャカルタ 吉村英輝、写真も) ジャカルタ北部コタ地区。オランダ植民地時代の町の中心部で歴史的建造物も多く、華人が多く居住することでも知られる。市場にもほど近い庶民的な旧繁華街の一角に、「SANTONG KUO TIEH SUE KIAW 68」がある。大きな看板はない。道路に面した店の軒下のテーブルで、店員数