非常識の政策が円高を呼ぶ 「米欧は正真正銘の財政危機なのだが、日本政府の債務は問題であっても、危機ではない。だから円や日本国債をみんな買うのだ」と、英ロンドンの国際金融アナリスト、A・シムキン氏は筆者にずばり語った。 社会保障支出も東日本大震災の復興も、B型肝炎訴訟和解金支払いも、これ以上政府債務を増やすとギリシャ並みの危機になるから、増税で財源を確保しなければならないというのが、菅直人政権の「何でも増税」路線なのだが、国際金融社会では異様に映る。外から見れば危機レベルではないのに、政府は家計や企業の所得を奪ってまで国債の償還を保証するのだから、米欧や中国など世界の投資ファンドは安心・安全の日本国債を買い、円相場を吊り上げては荒稼ぎできる。 ◆認識の甘さが間違い 世界の経済学者の間では、「日本はなぜ世界の非常識となる経済政策をとるのか」という疑問が広がっている。米エール大学で教鞭(きょうべ