80歳になられた天皇陛下は、現役の科学者としても活躍されている。ハゼ分類学者として、日本魚類学会会員のほか、世界的学術組織のロンドン・リンネ協会名誉会員などの肩書をお持ちで、共同研究者の一人は「海外研究者がしばしば話題にするほど愛されている」と語る。今も、忙しいご公務の合間を縫い、研究にいそしまれている。 皇太子時代の昭和38年以降、魚類以外も含め計31編の論文を発表されている。 「ご研究成果の一つは、いまやハゼ分類での常識」と語るのは、共同研究者の中坊徹次・京大総合博物館教授(64)。成果とは、新たな分類基準のご提示だ。 陛下はハゼの一種「カワアナゴ」など250以上の個体の形態を丹念に調べあげ、頭部の突起状の感覚器官「孔器(こうき)」の配列規則が種によって明確に異なることをつきとめ、42年の論文で発表された。当初は疑問を呈する学者もいたが、50年代には普及したという。 新種8種も報告され