【北京・西岡省二】北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイル発射に踏み切ったのは、4回目の核実験の時と同様、国際社会に脅威を与え、国連安全保障理事会で進められている制裁論議を揺さぶる狙いがあるとみられる。自国との対話に応じない米国に核・ミサイル能力が向上する様子を見せつけて交渉のテーブルに引っ張り出すという思惑に加え、国内世論を引き締めるという意味合いもあるようだ。 これまで、北朝鮮は経済難にもかかわらずミサイル開発に全力を傾けてきた。朝鮮半島は形の上では南北の休戦状態が続いているが、通常戦力ではもはや米韓の足元に及ばず、核兵器とミサイルを組み合わせることで対抗してきた。同時に、周辺国に軍事的脅威を植えつけ、外交交渉を有利に進めるためのカードとしても活用してきた。