今年は国際連合が定めた国際生物多様性年に当たり、また、生物多様性条約第10回締約国会議が多くの国々の参加者を名古屋市に迎え、開催されました。この会議では、さまざまな論議が交わされましたが、最終的に各国の同意を得て、会議が滞りなく終了したことは喜ばしいことでした。より多くの人々が生物多様性に関心を持つようになった意義ある会議であったと思います。 この生物多様性年も終わりに近い頃、日本の淡水魚が1種増えました。それは、最近新聞などでも報じられたクニマスのことです。クニマスは田沢湖にだけ生息していましたが、昭和の10年代、田沢湖の水を発電に利用するとき、水量を多くするため、酸性の強い川の水を田沢湖に流入させたため、絶滅してしまいました。ところがこのクニマスの卵がそれ以前に山梨県の西湖に移植されており、そこで繁殖して、今日まで生き延びていたことが今年に入り確認されたのです。本当に奇跡の魚(うお)と