「おれの田んぼが……」。斎藤正一さんは自分の水田の前で言葉を失った=22日、宮城県亘理町、鈴木写す内陸の塩害、自粛の水田の位置 東日本大震災の津波は、丹精込めて耕してきた水田を一気にのみ込んだ。海水につかった田んぼが塩害で使えなくなっただけでなく、浸水を免れたのに、下流のがれき除去作業などへの影響を考慮して水を張れない田んぼも。「どうやって生きていけというのか」。農家は途方に暮れる。 海岸から2キロほど離れた宮城県亘理(わたり)町吉田の田んぼには、今も茶色い海水がよどむ。乗用車、瓦ぶきの屋根、海べりから流されてきた松の木などが散らばる。 「おれの田んぼに津波が来るのをあそこから見てるしかなかったんだ」。50メートルほど離れた町役場支所の屋上を指さしながら、専業農家の斎藤正一さん(65)はため息をつく。 町内に点々と計2.9ヘクタールの田んぼを持つ。イチゴが収入の主役になったが、先祖