「山元町の未来に向かって出発進行!」。午前5時42分、駅長の合図とともに宮城県山元町の山下駅から仙台駅に向かう真新しい4両編成が滑り出した。再開を待ちわびた約150人が一番列車に乗り込んだ。 福島県新地町の新地駅前の式典には安倍晋三首相が参加し、「この駅は新地町の復興のシンボルだ」とあいさつした。 「やっとこの日が来た」と話すのは地元の斎藤慶治さん(60)。津波で住宅は土台だけになり、新しい山下駅近くに新居を構えた。「ここからが本当のスタート。活気ある街になってほしい」と、車窓からの街並みを見つめた。 再開まで時間を要したのは、津波に備えて鉄路を内陸に移す大がかりな工事をしたためだ。約400億円をかけて山下、坂元(宮城県山元町)、新地(福島県新地町)の3駅を含む延長14・6キロを最大1・1キロ移設し、一部を高架化した。3駅周辺には沿岸被災者の集団移転によって新たな街ができつつあり、町は人口