日本海での分析用海水の採取作業=2012年9月、国立環境研究所提供日本海の低層で低下が続く溶存酸素濃度日本海の海底に酸素が供給されるしくみ 【山本智之】日本海の底層の海水に含まれる酸素の量が、減り続けている。国立環境研究所(茨城県つくば市)などの研究チームは「温暖化の影響で冬に表層の海水が十分に冷やされなくなったことが原因」と指摘している。このままでは将来、日本海の深部が酸欠状態に陥り、海の生態系や漁業に悪影響が出る可能性もあるという。 日本海は最大水深が3500メートルを超し、底の深いお椀(わん)のような形をしている。対馬海流が南から運ぶ温かく軽い海水は、日本海の深い場所の海水とはほとんど混ざり合わず、津軽海峡や宗谷海峡から流れ出る。表層の海水と混ざり合いにくい深海の海水は「日本海固有水」と呼ばれている。 日本海固有水は、おおむね深さ200メートル以深にあり、水温は0〜1度。いま異