まず、よくある「化学者のイメージ」とはどんなものだろう。ぼくの頭にぱっと浮かぶのは「白衣に試験管」や「白衣にフラスコ」といった姿だ。これはステレオタイプな「サイエンティスト像」そのものかもしれない。ネットで利用できる写真素材提供サービスなどを見ていても、「科学者」のカテゴリーにこういった写真やイラストがふんだんに用意されている。 ところが、高田さんの研究は、そんなステレオタイプとは別のところから始まる。 始まりは、常にフィールド。「現場百遍」を合言葉に、みずから現場でサンプルを取得するのが流儀なのである。日本だけではなく、ベトナム、ラオス、カンボジア、マレーシア、インド、ガーナ、ケニア、南アフリカ、モザンビークなど、世界中のあちこちに自ら足を運び、サンプルを取得してくる。その行動範囲は、ぼくが密かに「インディ・ジョーンズ系」と呼ぶタイプの研究者のものだ。 ここでは、最も身近なフィールドの一