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ブックマーク / honz.jp (19)

  • 麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 歴史、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったなあと、身の回りに当たり前に存在する設備や技術に感謝することが多い。昔は治せなかった病気が今では治せるケースも多いし、瀉血やロボトミー手術など、痛みや苦しみを与えるだけで一切の効果のなかった治療も、科学的手法によって見分けることができるようになってきた。 だが、そうした幾つもの医療の進歩の中で最もありがたいもののひとつは、麻酔の存在ではないか。正直、麻酔のない世界には生まれたくない。切ったり潰したりするときに意識があるなんてゾッとする──現代の医療に麻酔は絶対絶対必須だ。そのわりに、患者に麻酔を施す麻酔科医の仕事は光が当たりづらい分野である。何しろ実際に手術や治療を担当することはめったにないから、麻

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2019/12/26
    麻酔がいつ効いたのか記憶にない。
  • 『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ

    一般に、は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 事

    『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ
  •  絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと - HONZ

    神成大尉は、二一〇人の兵隊を凍死させたのは自分の責任であるから自分は自殺する、舌を噛んで自殺すると。…… ベッドの上で正座して話す老齢の男性――その人は、世界最大級の山岳遭難事故の最後の生存者・小原中三郎元伍長であった。 1902年(明治35年)1月。日露戦争を前に陸軍は寒冷地での行軍を調査・訓練するため、青森の陸軍歩兵第五聯(れん)隊と弘前の第三十一聯隊が豪雪の八甲田を異なるルートで越えることになる。結果的に三十一聯隊は八甲田を越え帰還したが、五聯隊は山中で遭難。210人あまりの将兵のうち、199人もが凍死した。世に言う「八甲田山雪中行軍遭難事故」である。 これをもとに書かれた新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』は、大ベストセラーになった。映画化された「八甲田山」で北大路欣也演じる第五聯隊の神成(役名は神田)大尉が猛吹雪のなか、こう叫ぶシーンをご存知の方も多かろう。 天はわれらを見放した

     絶望的にヒーロー不在『八甲田山 消された真実』フィクションとノンフィクションと - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2018/08/12
    「『八甲田山死の彷徨』や映画「八甲田山」は小説として映画としては間違いなく不朽の名作だ。…しかし小説や映画の完成度があまりに高かったためにあたかもそれが「史実」とすり替わってしまったことには複雑な…」
  • 『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ

    「ディストピア」とはユートピアの反対語。理想郷じゃない場所のことだ。「日スゴイ」ならユートピアなんじゃないの?と思いながら読みはじめると、戦時下に行われたプロパガンダによって洗脳された日人の姿に戦慄させられる。言葉の力は強大だ、プラスに働いてもマイナスでも。 書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日スゴイ」の中から「日主義」「礼儀」「勤労」など、現代にも通ずる日礼讃キーワードごとに、膨大なを吟味していく。こんなことが大真面目に語られていたかと驚くばかりである。 そもそも「日スゴイ」のネタの原型はどこにあるのか。探っていくと見つかったのは週刊新潮の版元、新潮社が出していた月刊総合雑誌「日の出」であったのだ。 満州事変を契機とする日の国際連盟脱退を受けた「日の出」1933年10月号には「世界に輝く日の偉さはこゝだ」という特別付録が付いていた。地球上に全く孤立無援

    『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2016/08/07
    「本書には昭和初期から終戦までに出版された当時の「日本スゴイ」本の中から「日本主義」「礼儀」「勤労」など現代にも通ずる日本礼讃キーワードごとに膨大な本を吟味していく。こんなことが大真面目に語られていた
  • 『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ

    先週末30年ぶりにシリーズ続編として公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は突き抜けて凄まじい、破壊的なエンターテイメントだった。崩壊した地球文明の後に残った脳筋の男共が滅茶苦茶に改造されもはや原形が何だったのかさっぱりわからない車とバイクに跨り、何故か火を吹くギターを持って、裏切り者の女共を追いかけ上映時間の殆どをカーチェイスに費やす。走れども走れども砂漠以外何も見えない、荒廃した大地。資源は限られ少ない物資をヒャッハー!! と、暴力によって奪い合う、力こそ正義! な地獄絵図な世界が広がっている。 しかし、仮に核戦争なり宇宙人の侵略なり異常気象なり隕石の衝突なり、原因をどこに求めるにせよ、文明がいったん崩壊してしまったとしたら、当にそんな破滅的な状況になるのだろうか? 失われてしまった文明はもはや戻らないのか? 逆に復興できるとしたら、どうやって? 書は書名である『この世界

    『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ
  • メルカトルからグーグルへ『世界地図が語る12の歴史物語』 - HONZ

    地図を見るのは楽しい。行ったことがある場所なら、あぁこんなだったと思いだせるし、行ったことがない場所なら、どんなところだろうかと想像力がかきたてられる。いまや、世界中、地図のないような場所はない。しかし、そんな時代になったのは、それほど昔のことではない。 古代バビロニアに始まり現代で終わる、地図についての物語集だ。それぞれの地図が作られた時代が語られ、その意味とインパクトが語られる。一つずつが含蓄あふれる物語になっているが、通して読むと、地図というものが、どのような目的でどのように作られてどのように利用されてきたのかが手に取るようにわかる。 最古の地図として紹介されているのは、イラクで出土した、紀元前700~500 年頃の古代バビロニアの粘土板である(序章)。そこに刻まれた楔形文字の内容から地図だと確定されているが、その絵柄だけだと地図とはわからないという程度の代物だ。それが、紀元前150

    メルカトルからグーグルへ『世界地図が語る12の歴史物語』 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2015/12/14
    「古来、さしたる理由はないけれど地図は上を北にするのが慣習だ。しかしグーグルマップでは自分の進む方向を上にできる。さらに今いる場所を中心点に据えてリアルタイムに利用できる。我々は「道に迷うことを知って
  • 『コーランには本当は何が書かれていたか?』 - HONZ

    イスラムを深く知るためには、「コーラン」を避けて通ることができない。ジハードで死ぬと、楽園の72人の乙女という報酬があると書かれているのは当か? そして過激派たちによってどのように曲解され、利用されてきたのか? 今あらためて問われる、コーランに書かれている内容の質。(HONZ編集部) 書はカーラ・パワー(Carla Power)著If the Oceans Were Ink――An Unlikely Friendship and a Journey to the Heart of the Quran(『たとえ海がインクであっても――奇妙な友情とコーランの心髄への旅』)(2015年 ヘンリーホルト刊)の邦訳です。 副題にある「奇妙な友情」とは、著者である気鋭のアメリカ人女性ジャーナリスト、カーラ・パワーと、書における彼女の対話の相手、イスラム学者のモハンマド・アクラム・ナドウィー師と

    『コーランには本当は何が書かれていたか?』 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2015/11/20
    「イスラム世界は…物事の「原点」「起源」というものを非常に大切にします。したがって…アクラム師のような古典主義の立場から今日のイスラム教徒の慣行には根拠がないと呼び掛けるほうがよほどインパクトがあると
  • 『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』 - HONZ

    少子高齢化に悩むわが国では、ようやく人口政策の是非が議論され始めた。しかし人口問題は難度が高い。昨年「人口の世界史」(マッシモ・リヴィ‐バッチ)という人口問題を考える上で極めて示唆に富む良書が出版されたが、20万年の人口変遷史を記述した書もそれに劣らない出来栄えだ。 20万年前(世界人口5千人、以下同じ)に、東アフリカで誕生したヒトの出生と死亡の原像は、生涯出産数が4.4程度で、生後1年間に4分の1近くが死亡し10歳までに半数以上が死亡、平均寿命は20歳ちょっとと推定されている。出アフリカは12.5万年前、地球全域への移住格化したのは6~7万年前(50万人)、ヒトは火を用いて環境を改変し、人口支持力を高めてきた。この過程で多くの野生大型動物(メガファウナ)が絶滅した。 定住と農耕が始まったのは1.2万年前(500万人)のことだった。定住により出生率の上昇と乳幼児死亡率の低下が同時にお

    『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』 - HONZ
  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ

    人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集『世界の辺境とハードボイルド室町時代』。第2回は「「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃」について。未来の指す方向から読み解く、時間と空間の転換点とは?(HONZ編集部) ※第1回はこちら 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃 清水 日語に「サキ」と「アト」という言葉があるでしょう。これらはもともと空間概念を説明する言葉で、「前」のことを「サキ」、「後ろ」のことを「アト」と言ったんですが、時間概念を説明する言葉として使う場合、「過去」のことを「サキ」、「未来」のことを「アト」と言ったりしますよね。「先日」とか「後回し」という言葉がそうです。 でも、その逆に「未来」のことを「サキ」、「過去」のことを「アト」という場合もありますよね。「先々のことを考えて……」とか、「後

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ
  • 昆虫研究者に囲われた、セクシーすぎる愛人たちの図鑑『きらめく甲虫』 - HONZ

    皆様、大変お待たせしました。クマムシ博士のデビュー書評@HONZです。これまでにもHONZでは自称・虫マニアたちが、変わったを見つけてはしゃぎ回っておりましたが、ついに真打ち登場です。あのクマムシ博士も嫉妬した、甲虫版グラビア写真の奥深き世界をどうぞご堪能ください。(HONZ編集部) 「これまでの昆虫図鑑の概念を覆した」。書のことを、こう紹介しても過言ではないだろう。従来の昆虫図鑑では体現できなかった、圧倒的な質感と光沢。書では、各ページがひとつの標箱、いや、宝石箱になっている。その中にそっと指を入れれば、掴めてしまいそうな、きらめく虫たち(実際に、書に印刷された虫を物だと勘違いし、一生懸命に指でつまもうとしていた幼児がいた)。 ページをめくるごとに、たしかな質量をそなえた昆虫たちが浮き出る。虫たちの容姿は、リアルを通り越して、セクシーな領域にまで達してしまっている。これだけの

    昆虫研究者に囲われた、セクシーすぎる愛人たちの図鑑『きらめく甲虫』 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2015/07/11
    …昆虫愛が深くないと耐えられないかも…。
  • 『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』著者インタビュー(動画)暴力的な情景の中に、愛を見出すことができるか - HONZ

    『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』著者インタビュー(動画) 暴力的な情景の中に、愛を見出すことができるか 早いもので、今年も既に半分が終わろうとしている。今年上半期に出会った様々なノンフィクションたち。その中で、今でも頭の中からこびりついて離れぬくらい鮮烈な印象を残した一冊がある。それが、書『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』だ。 ルーシー・ブラックマン事件は、2000年7月に英国航空の客室乗務員が失踪し、7ヶ月後に神奈川県三浦市の海岸近くにある洞窟でバラバラ遺体で発見された事件である。15年も前の話だから、最後まで読み終えることができるかななどと軽い気持ちで読み始めたのだが、杞憂に過ぎなかった。(レビューはこちら) 目の前にいるかのような登場人物のリアリティ、外国人特有の視点による斬新さ、社会構造の問題点を突く時の鋭さ、そしてストーリーテーリングの

    『黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件15年目の真実』著者インタビュー(動画)暴力的な情景の中に、愛を見出すことができるか - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2015/06/24
    「しかし最も大きな謎であり私が多くの時間を費やしたのはもちろん織原城二についてです。彼の生まれ彼の人生そしてなぜあのような人間になったのか。織原の人生のさまざまな時点で彼を知っていた人々に話を訊くこと
  • 『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで - HONZ

    “耳鼻削ぎ”とは穏やかではない。というか、野蛮。現代人はそう感じるだろう。日歴史上で耳や鼻を削ぐといえば、戦国時代の話かな。敵の首をいくつとったか戦功を証明するのに、首だと持って帰るには重いから耳。いや耳だと左右二つ削いで数をごまかせるので鼻になったんだっけ。いやはや、戦国時代は血腥い…。 著者は日各地の“耳塚”“鼻塚”を訪ね歩き調査する。無惨に討たれた武士たちの耳や鼻が何百と葬られたというのなら、さぞや怨念が染み付いているだろう、怨霊話もあるだろう。耳や鼻を削ぐという行為の意味もみえてくるだろう、と思いきや。 なぜかどこへいっても「耳の神様が耳の聞こえをよくしてくださるところ」という話ばかりだったのだという。 私は日中の耳塚・鼻塚を訪ねてまわり〜(中略)けっきょくのところ、どこの耳塚・鼻塚からも不気味な怨霊譚が聞かれることはなかった。それどころか〜(中略)土地の人から愛され、ご利

    『耳鼻削ぎの日本史』”やさしさ”から”見せしめ”まで - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2015/06/24
    「…集めた鼻が枡一升分になったものから住民の生け捕りを認めるというのである。出兵した大名たちは鼻削ぎに奔走する。なにしろ鼻があればよいのだから非戦闘員である女子供も捕まえて鼻だけいただくということも横
  • 『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ

    ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというのだ。たしかに言われてみると、スーパーの鮮魚売り場で見かけるホッケは、こじんまりと品よく高い。なぜこんなことになったのか。 ホッケの漁獲量が減ってしまったのだ。もはや海に大きなホッケはほとんど見当たらなくなっているという。1998年の20万トンをピークに、2011年にはなんと!75%減のたった5万トンになってしまった。獲りすぎたのだ。 こうして獲りすぎて、いなくなってしまった魚はホッケだけではない。マイワシ、ニシン、マサバ、ウナギ…。クロ

    『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2015/01/24
    「当の日本のサバは早獲り競争で小さくやせたものが多くなりそれらは養殖のエサなどとして途上国などへ投げ売りされているという。日本の消費者が払ったサバの代金でノルウェーの漁師は潤い日本の漁師が一生懸命に働
  • 『ぼくは物覚えが悪い』海馬を失った男は、永遠に続く30秒を生きた - HONZ

    今年も残すところあと1ヶ月となり、年忘れという言葉も聞こえてきた。皆さんにとって2014年はどのような年であっただろうか?そして来たる2015年のことを考えた時に、どのような感情が沸き上がってくるだろうか? 年の瀬ともなると、私たちは過去の出来事を頭の中で再現し、その情動を元に未来へ思いを馳せる。年を忘れるというくらいだから、辛かったことや不安な出来事を思い出す方も多いのかもしれない。いずれにせよ私たちは「今」という瞬間を疎かにするくらい、記憶というものに縛られながら生きている。それならば未来もなく過去もなく、現在進行形しか存在しない世界に行けば、不安を取り除くことは出来るのだろうか。 1953年、一人の男がてんかん治療のための脳手術を行った。左右の内側側頭葉を摘出するという実験的な手術であったものの、発作は無事に抑えられるようになる。しかしこの手術は、関わった全ての人にとって決して忘れら

    『ぼくは物覚えが悪い』海馬を失った男は、永遠に続く30秒を生きた - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2014/12/01
    「手術によって記憶を失ってから50年近くもの長い間生き続けたということそして類いまれな利他的な精神の持ち主であったことも彼が神経科学史上最も研究された理由の一つであった。彼は自分の病気の研究がほかの人が
  • 『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落 - HONZ

    時代がいくら変わっても、新聞には変わらない役割があります。その重要な 一つが権力監視、権力チェックではないでしょうか。権力監視の力は弱くなってきたと言われていますが、読者のためにも権力監視の役割を放棄するわけにはいきません。北海道警察の裏金問題の報道は、まさにそうした、新聞来の役割を取り戻すための作業でした。 2004年10月、書の著者・高田昌幸氏が北海道新聞取材班の代表として、報道界最高峰と言われる新聞協会賞を受賞した時のスピーチである。このときの「北海道警裏金問題追及キャンペーン」は素晴らしい仕事であった。一連の調査報道は、このほか日ジャーナリスト会議大賞、菊池寛賞も受賞し、北海道新聞の勇名を日中に轟かせた。事件の取材においては警察との「友好関係」が欠かせない警察記者クラブの記者たちが、よくぞ踏ん張って戦ったものだなあと、私も当時感心した記憶がある。 かっこいいなあ新聞記者。頼

    『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2014/05/24
    「輝かしい成果を誇った北海道新聞は実は水面下で圧力に屈し「警察に跪いていた」のだ…。裏切り密告恫喝謝罪。本書は企業ジャーナリズムの栄光のあとの落日戦慄の後日談組織に翻弄される人々のドラマである。」
  • 『にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語』 ホッキョクグマの肝臓を食べてはいけない - HONZ

    ワトソンとクリックによりDNAの二重らせん構造が明らかにされて60年以上が経過し、私企業のサービスを利用すれば個人でも気軽に遺伝子解析が行える時代となった。アンジェリーナ・ジョリーが自らの遺伝子検査結果をもとに乳房切除を決断したように、遺伝子分析の結果が私たちの意思決定に影響を与える事例もみられる。しかし、わたしたちは自分の未来を委ねられるほどに、遺伝子のことを理解しているだろうか。 著者は、そもそも遺伝子とDNAはどう違うのか、から説き始める。多くの先人たちの努力によって、遺伝子の役割は少しずつ、だが確実に明らかになってきている。書では、教科書的な堅苦しい説明ではなく、遺伝子と人類にまつわる不思議な物語を追っていくことで、遺伝子への理解を深めてくれる。 生命誕生から現代のエピジェネティクス研究までをカバーする書の物語は、驚きに満ちている。まさに、「にわかには信じられない」エピソードの

    『にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語』 ホッキョクグマの肝臓を食べてはいけない - HONZ
  • 捏造を知るにはこれを読め! 『背信の科学者たち』の緊急再版を訴える⇒再販が決定しました! - HONZ

    『背信の科学者たち』、この刺激的なタイトルのが化学同人から出版されたのは四半世紀前。1988年のことである。かけだし研究者であったころにこのを読んだ。驚いた。捏造をはじめとする論文不正を中心に、科学者のダークな事件をあらいだし、その欺瞞から科学をとらえなおそうという試みである。最初におことわりしておくが、この、後に講談社ブルーバックスとして出版されているが、いまは絶版になっている。 科学というのは、基が正直ベース。性善説にのっとった営みである。こういったことと自分はまったく無縁だと思っていた。まさか、10年後に捏造事件に巻き込まれるとは夢にも思っていなかった。そして、今回のSTAP細胞騒動である。 STAP細胞について、直接は関係していない。しかし、主人公以外の登場人物は、論文調査委員会のメンバーも含めて、個人的に知っている人ばかりである。そして、専門領域が近いこともあってか、ある

    捏造を知るにはこれを読め! 『背信の科学者たち』の緊急再版を訴える⇒再販が決定しました! - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2014/04/14
    「これらの研究が一時的とはいえ優れた業績として発表され認識されたのはスペクターとロングの場合は有名な研究者の後ろ盾があったから、そして野口の場合は生命科学の殿堂ともいえるロックフェラー研究所からの論文
  • 『記者たちは海に向かった』 - 半径10kmのジャーナリズム - HONZ

    記録を残すとは、時に残酷なものである。 書の表紙をめくると、そこには一枚の写真が掲載されている。カメラに向かって微笑む、福島民友新聞の6人の記者たち。撮影されたのは、2011年3月9日。後方には激震と津波によって後に消失してしまう「ろうそく岩」もそびえ立つ。そして6人の運命が、やがてジグソーパズルのようにバラバラに引き裂かれていくことを、彼らはまだ知らない。 記録を残すとは、時に希望を生み出す。 2011年3月12日の福島民友新聞の社説は、このような書き出しで始まる。 <私たち福島県民にとって、これまでに経験したことがない、想像を絶する揺れだった。> 一次資料もなく、被害状況も分からず、周囲が安否確認をしているさなかに書き出された文章は、助け合い、支え合うことへの呼びかけを目的とし、多くの被災者の元へと届けられた。 だが、このわずか3日ほどの間に、福島民友新聞の中では想像を絶するドラマが

    『記者たちは海に向かった』 - 半径10kmのジャーナリズム - HONZ
  • 『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか』 地獄を見た司令官 - HONZ

    地獄というものがこの世に存在するのなら、著者が1994年にルワンダで見た光景こそ、そう呼ぶに相応しい。徹底的に破壊された都市、拷問の限りの果てに殺された人の山、その死体をべて犬の大きさにまで成長したネズミ。そこには、正気を保っているほうが異常であると思われるような、圧倒的な現実が広がっていた。 書の著者であるカナダ出身の軍人ロメオ・ダレールは、1993年10月にPKO部隊の司令官として内戦の続くルワンダに国連から派遣され、80万人の命がたった100日間で失われたジェノサイドを目の当たりにした。事態の鎮静化後に司令官を辞任したダレールは、カナダへ帰国してからもうつ病やPTSDに苦しみ、2000年にはアルコールとドラッグを用いて自殺未遂を起こす。 苦しみ続けた彼は、世界にルワンダの悲劇を伝えるために、そして、二度と同じような悲劇を起こさないために地獄の体験を振り返り、書にまとめた。この

    『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか』 地獄を見た司令官 - HONZ
    toratorarabiluna273momomtan
    toratorarabiluna273momomtan 2012/09/12
    『「盲目か、読み書きができないのでないかぎりルワンダで何が起こっているかについて皆知っていた」のだ。知っていて無関心でいることを選んだ世界はこの経験から何を学ぶことができるだろうか。その後2003年にコ
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