都内の閑静な住宅街、真夏の陽が痛い。アスファルトからは湯気のように気体が立ち昇る。門構えが立派な高級住宅が建ち並ぶ中に、公営の図書館がある。公園が隣接し、放課後に遊ぶ小学生や小さな子どもたちの声が聞こえた。 谷村綾子さん(37歳、仮名)は、この図書館に勤める図書館司書だ。館内に入ると神聖とも言える静かな雰囲気、司書たちはカウンターで貸し出し返却業務、カートを押して本の整理、カウンター奥の事務スペースでは黙々と事務作業をする。館内は広く、週刊誌や文庫本から専門書、地域の資料まで幅広い本がそろう。谷村さんの終業時間は17時15分。隣の公園で待つと、17時20分にはやって来た。黒髪、清楚で堅いイメージ、おだやかでまじめそうな女性だった。 「市の嘱託職員になります。図書館で働く司書の7割くらいは非正規雇用で、給与は安いです。未婚、ひとり暮らしなので正直、毎日不安と焦りばかりです……」 役所、義務教
6時11分。同駅始発の1番列車「なすの」がホームを離れた。東京駅まで69分。乗ったのは約200人だった。6時台は東京行きが5本もある。 2番列車に合わせて駅に来たのは東京都文京区の大学図書館で働く司書の男性(24)。一緒に乗った。17両のうち14両が自由席なので、席は選び放題だ。すぐ眠る人も多いが、男性は司書業務の勉強や読書の時間に充てている。「個室みたいで集中できるんです」 自宅と職場が近い「職住近接」がもてはやされているこのごろ。どうして遠距離通勤を? 青森市出身で茨城県つくば市の大学を卒業。そこで学んだ理系専門司書として働ける場所は東京にしかなかったが、都心の人混みを見て「住めない」と思ったという。 埼玉県久喜市、宇都宮市、栃木県小山市で物件を探したが、「田んぼがない風景はつらい」。インターネットで「通勤の限界地点」を検索し、那須塩原駅に決めた。駅から徒歩15分のアパートで一人暮らし
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 変わりゆく大学のいま~激流の中で みわよしこ 大学、大学院を卒業しながらも、安定的な職に就くことができない、高学歴ワーキングプア、非正規博士…が増加し続けている。そうした背景にあるのが、「大学」自体の混乱だ。少子化による学生の減少、大学乱立による入学者不足による経営難、国立大学の法人化、研究資金の削減…などきりがない問題を抱えるいま、大学
学部3年生から社会人2年目までの、わたしの就職活動についてまとめました。公務員・図書館系を軸に、大学職員や教育支援系の企業への就職活動です。 わたしは大学卒業後、非常勤職員として2年間大学図書館に勤めています。今年の春から正規職員として他の大学で働き始める予定です。 一般的な、いわゆる最近の「シューカツ」とは少し違いますが こんな人もいるんだと、誰かのお役に立てれば幸いです。 わたしのスペック 女性 地方出身 国立大学(ぎりぎり首都圏?) 文理融合系学部 公務員・大学事務・図書館志望 東京・神奈川・千葉・埼玉・静岡辺りの勤務地を希望*1 以下、それぞれの年ごとにまとめます。 当時やっていたこと、考えていたことなど。 学部3年生 公務員しか考えておらず、ひたすら教養試験の勉強。 (と言ってもそんなにしていない) 2年生の秋から、隔週で大学の公務員対策講座*2を受講。 一応、10月に幾つかの就
2014-02-12 【図書館】正規職員を目指す人は、非正規職員にならないほうがいいという話 図書館 ワーキングプア 非正規職員 指定管理者制度 今回は下のホッテントリを受けて、図書館司書を目指す学生さんや若い非正規職員さんに向けたエントリ。 非正規で図書館で働くわたしたちの話をしよう - Togetterまとめ こういうトピックがあると、「官製ワーキングプアけしからん!ぷんすこ!」という論調になりがちだけど、構造的には被用者側にも問題があるし、自分の経験的には将来的に正規職員を目指す人は、非正規として働くことはできればやめといたほうがいい、ということを忠告したいと思う。 というのも、自分はかつてとある田舎の小さい図書館で管理的な仕事をしていたことがありまして。 そこで非常勤職員を募集したことがあって、そうすると来るわ来るわ、こんな田舎なのにこんなに!?と驚くほどの人が押し寄せてくる。
なんだかもうすんごい言いっぱなしになっている後半をどうぞー。 前半はこちらです。 ーーーー 問題な現象 以上述べてきたように、大学図書館員の職務満足感やコミットメントはおおむね高いということがいえるが、それではなぜやむにやまれぬ離職行動がおこるのであろうか。 これらは複数の離職者の言葉である。 怒りをおぼえる キャリア・パスに満足がいかない いくらがんばっても評価されない 人間関係で悩み、カウンセリングを受けたことがある 納得のいかない異動があった 上司の理解がない スキルが活かされない 図書館の仕事は好きだ 実は、ある程度のキャリアを得てから離職した者は少なからず図書館に関係する仕事に就くことができた者もいる。その点で、仕事に対するコミットメントは維持されたままとなるので、障壁が低くなったことが離職行動に踏み切らせる要因の一つであろう。 しかしこれらの言葉に見られるように、彼/彼女たちが
謹啓 アタクシ、このたび、図書館業界から足を洗いました。 勤務していた大学図書館において、アタシをはじめとするスタッフがほとんど総入れ替えに至るまでのさまざまな事柄については、聞くところによると業界の噂にもなってるらしいですが、おおむね、うわさは合ってます。 対利用者、対大学、対直接指揮命令者、対パートナー会社。 要するに、どちらを向いて仕事をしていけばいいのかわからなくなってしまった、というのが一緒に退職した仲間の辞職理由の根底に共通するものだと思います。 詳しいことはお約束により書けませんが、この業界を巡る派遣とか業務委託とか非正規雇用とか正規職員以外の働き方のシステムは、ここらへんできちんと考えないと、ありとあらゆるひずみが極限まできている気がしています。 アタシ自身は、つぎつぎに辞めていく仲間の仕事を、やっと入ってきた新人に的確に移譲するまでの間、自分自身の仕事にプラスしてしなけれ
最近Webで大学図書館業務の委託についての話を読んだ*1。 自分もそうした委託の業者で働いたことがあるし、交流もあるのでいくつか知っていることがある。 具体的には丸善、紀伊国屋、TRC、ナカバヤシ、埼玉福祉会の仕事は関わったか隣で見ているか、とにかく一部知っている。 業者側の話はあまり語られないので、ここで少し自分が知っていることをまとめておこう。 あまりまとまりが良くない上に経験に限度があるが、何かの参考になるかもしれない。 契約について 図書館業務を請負で行う会社は、おおむね図書館用品や書籍販売などいくつかの業務で図書館とつながりを持っている(そうではない会社もある)。 最も、図書館業務の営業と用品・書籍販売の営業は違う部署であることが普通だけど。 大学側は、つながりの深い業者とやり取りをするか、複数業者で競争入札を行う。 価格だけではなく、「大学とのつながり」が重視される例をいくつも
平成22年1月5日 有志の公立図書館が関係部局と連携しながら、課題解決支援サービスの一環として、貧困・困窮者に対する支援を開始しましたので、別紙のとおり公表いたします。 1趣旨 現下の厳しい雇用状況を踏まえ、政府では緊急雇用対策本部を中心に、貧困・困窮者等に対する雇用、住居、生活支援に関するワンストップサービスなどの施策を実施している。 これに対し、従来より一部の公立図書館では、来館者に対する情報提供・相談業務を発展させ、地域が抱える様々な課題に対する解決支援サービスを実施している。 そこでこのたび、上記サービスに関する知見の豊富な有志の図書館が「図書館海援隊」を結成し、ハローワーク等関係部局と連携しながら、貧困・困窮者に役立つ支援をより本格的・継続的に開始するものである。 2支援活動の例(別添「労働者の直面する問題と図書館のできること」参照) ・労働・生活に関するトラブル解決に役立つ図書
政局が緊迫化する流れに応じ、国会議員の調査活動を補佐する国立国会図書館(東京都千代田区)の処理件数が、08年度は4万6657件と過去最多を記録した。国会の熱い攻防を陰で支える「立法府のブレーン」だ。 鶴見大(横浜市鶴見区)で6月27日講演した同図書館の調査員、澤田大祐さん(30)は「情報のプロ集団」とその役割を強調した。 国会議事堂の北隣にあり、蔵書数は約3473万点。職員約900人のうち、調査および立法考査局スタッフは約120人で、議員や秘書から電話などで調査依頼が来ると、資料にあたり、回答する。議員はこれを基に国会で質問したり、議員立法に利用する。 与野党の政策論争が激しくなるにつれ、調査依頼は増加。08年度は4年前に比べ、1万2643件も増えている。調査対象で最も多いのは、新聞雑誌類の参照・確認で約27%。派遣切りや新型インフルエンザなど厚生労働省関係も増え、12%余りと急増している
京大正門近くにテントを張り、ストライキを続ける非常勤職員の井上昌哉さん(手前右)と小川恭平さん(同左)=8日、京都市左京区ストライキを続けるテントで団体交渉について支援者と打ち合わせをする非常勤職員の井上昌哉さん(右から2人目)、小川恭平さん(同4人目)=18日、京都市左京区非常勤職員2人がストライキを続けているテント=18日、京都市左京区 「私たちは5年で壊れる機械ではない」。京都大学の時計台記念館前の広場で、2人の非常勤職員が、雇用期間を最長5年間と定めた規定の撤廃を訴え、テントで寝起きしながら無期限ストライキを続けている。大学は規定通りに「雇い止め」を実施する立場を崩さず、主張は平行線をたどっている。 大学正門を入ってすぐ。「首切り職員村」との横断幕を掲げたテントが登場して約1カ月になる。農学部図書室で、専門書のデータベース化作業などを担当する井上昌哉さん(37)と小川恭平さん(
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