cakesは2022年8月31日に終了いたしました。 10年間の長きにわたり、ご愛読ありがとうございました。 2022年9月1日
金滿里さんが主宰する劇団「態変」の出している『イマージュ』という媒体が「相模原事件」を特集した。そこに事件についてのコメントを寄稿した。なかなか手に取ることのない媒体なので、ブログに採録しておく。 相模原の大量殺人事件のもたらした最大の衝撃は、植松聖容疑者が事前に安倍晋三首相宛てと大島理森衆院議長宛てに犯行を予告する内容の書簡を届けていたことにある。それは単に権力者を挑発するための犯行予告ではなく、自分の行為が政権と国会多数派には「好ましい」ものとして受け止められ、権力からの同意と保護を得られるだろうという期待をこめたものだった。逮捕後も容疑者は「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言をしている。 もちろん、これは容疑者の妄想に過ぎない。けれども、何の現実的根拠もない妄想ではない。彼の妄想形成を強化するような現実が今の日本社会内部にはたしかに存在しているからであ
フォーリンアフェアーズの14年9月号で、ミアシャイマーがリベラルな国際政治観をぶった切っています。ジョン・ミアシャイマーはリアリリズム学派の国際政治学者。攻撃的リアリズム論の代表的な論者として知られる、当代きっての大学者の一人です。 彼は「欧米世界では、ウクライナ危機はすべてロシアの責任だ」という風潮に対して反駁し、アメリカとヨーロッパ諸国の責任を問うています。たいへん面白い議論ですので、その一部を紹介します。 ウクライナ危機を誘発した大きな責任は、ロシアではなくアメリカとヨーロッパの同盟諸国にある。危機の直接的な原因は、欧米が北大西洋条約機構(NATO)の東方への拡大策をとり、ウクライナをロシアの軌道から切り離して欧米世界へ取り込もうとしたことにある。……彼(プーチン)が反転攻勢に出たことには何の不思議もない。「欧米はロシアの裏庭にまで歩を進め、ロシアの中核的戦略利益を脅かしている」と彼
選挙の前後に「左派(左翼)のこれから」についていろいろツイートしていた。ちょっといじったら一つの文章になりそうだったので、まとめ。 8−90年代の個人主義(というか、反集団主義)的なムーブメントが共同体主義をへて排外的なナショナリズムにつながっていく流れっていうのは、00年代の前半には見えてきていたかな、と思う(このへんは、たとえば薬害エイズと拉致事件の言説分析などをやると面白い。同じフォーマットが左翼的な主張から右翼的な主張に転用される様子が実によくわかる)。 こういう思考の特徴というのは「自己への愛」がそのまま「国家(世界を包含する共同体)への愛」につながっていることで、その先駆的で極端な形のとしてのオウムから「量産型」としてのセカイ系、ややマイルドなあり方としてのJリーグまで、色々な形がある。そこで問題なのは、対話が存在しないことだ。「敵」と話し合わないのはもちろんだが、「仲間」だっ
選挙に行かない君へ | 乙武洋匡オフィシャルサイト 今回の選挙に関するネット上の色々な話を読んで思ったことのひとつとして、選挙に行かない人が「なんで選挙に行かないの?」と聞かれて言う答えは、はたして本音なのだろうか?という疑問が湧き上がって来た。なので、選挙に行かない人たちが選挙に行かない理由を、自分なりに考えてみた。 私自身は、今まで選挙にはほぼ毎回行っているけれど、反原発デモとかそういう運動には行ったことがない。理由は出不精でめんどくさいからだ。それを考えると、投票に行かない人の投票に行かない理由も、そんなもんなんじゃね?と思えてきた。 だったら、どういう反原発デモなら、私は行こうという気になれるだろうか。少なくとも、反原発デモに行っている人が、自分自身のことを「意識の高いシミン」みたいに思っていて、行かない人を「意識の低いシミン」と見なしているような、そういう雰囲気になっているところ
先週は、はてなブックマークのお気に入りを見るに、「はてサ」の話題が目についた。そこで言われていた「はてサ」とは、はてなブックマークを中心に左翼的な立ち位置を表明している人の中で、言動に一貫性がなく党派的且つ攻撃的で人の批判を受けつけない代わりこちらが言ってもいないことで怒り出す困った人々‥‥のことを指しているらしかった。 はてなでの政治的な話題には首を突っ込まないようにしている私でも、「はてサと思われる人のIDを上げよ」と言われれば10個くらいは思いつくが、その人々のうちのどのくらいが上記のような困った振る舞いを見せる人なのかは、よく観察していないのでわからない。 「はてサ」(の一部の人)批判について、右翼でもそういう人はいる、左翼に限らないという意見もブクマコメで見た。ただ、はてなのサービスではどちらかというと右翼より左翼的な人の方が言説が目立つ(or多い?)ので、「はてウ」(そういうの
韓国のイ・ミョンバク大統領による竹島上陸は、オリンピックの爽やかな感動に冷や水を浴びせるものでした。祖国の代表に熱い声援を送るのは健全な愛国心ですが、島の領有をめぐる対立を顕在化させ、日韓の信頼関係にも深刻な影響を与えかねない今回の行動は、日本にとってはもちろん、韓国にとってもマイナスだったと考えます。 同時に、この上陸によって日韓関係にどのような影響を与えるのかについても、十分認識した上での覚悟の上陸であったと思います。 経済界出身のイ・ミョンバク大統領は、歴代の大統領とは異なり、これまで歴史や領土の問題をことさら強調せず、日韓関係を重視する姿勢を貫いてきました。そのイ・ミョンバク大統領だけに、今回の竹島上陸には、正直、驚きと失望を禁じ得ません。 4年前にイ・ミョンバク大統領が就任してから、日韓関係にとっての最大の危機は、おととしの夏、韓国併合から100年の節目の年を迎えた時でした。
昨日(3月18日)最終回を迎えたTBS系のテレビドラマ『運命の人』は、山崎豊子の同名の小説を映像化したものだが、今から40年前の1972年に起きた「外務省機密漏洩事件」、通称「西山事件」を題材にとった異色の作品だった。視聴者からは「日曜夜のドラマとしては重い」との意見が多く、平均視聴率は約12%とふるわなかったが、東京(中日)新聞の社説や1面掲載コラムで言及されたり、国会で岡田克也が西山太吉氏に謝罪したり、「野ダメ」こと野田佳彦首相も遺憾の意を表するなど、一定の反響はあった。 手前味噌になるが、筆者が運営しているもう一つのブログ『kojitakenの日記』で、しばしばドラマの題材である「西山事件」を取り上げたところ、6週続けて日曜日と翌日の月曜日のアクセス数が1万件を超えた。特に3月4日には日曜日の21時台と22時台の2時間だけでアクセス数が1万件を超え、「不人気ドラマ」とはいえテレビの影
朝まで生テレビを久しぶりにみた。 橋下市長vs反橋下派ということだったけども、結局橋下市長の株が上がったんではないかな。 ぼくはこれまで反橋下のひとたちの言ってることがよく理解できなかったんだけど、 この番組をみてちょっと判った。 議論じたいはまったく噛み合ってなくて、 薬師院というひとはどうしたいのか本人すら判っておらず、ただのクレーマーだろう。 香山リカはただ怖いだけのようで、 共産党のなんたらというかたは党是どおりオール反対でおもしろかった。 ハシズムとかいって批判するひとたちは権益を失いたくないひとばかりと思ってたんだけど、 なにやら権益とは無縁で単に「ついてゆけないひと」が多くいることを知った。 「ついてゆけないひと」の気持ちはおもに2点だろう。 ついてゆけないひと → a.やりかたが嫌 b.変化の先の保証がみえないから嫌 a.やりかたが嫌、というのは、 おそらくどうして橋下市長
動画投稿サイトの「ユーチューブ」で今、意外な大ヒットとなっているのが、小さな漁船を巡る40分あまりの動画だ。既に日本人と中国人を中心に150万人を超える人々が、この海のドラマを閲覧した。 スケートボードに乗るブルドッグを撮影した40秒ほどの動画「Tyson the skateboarding dog」の閲覧者数に肉薄する勢いである。 題材となっている中国籍のトロール漁船は、今年9月、日中関係を2005年以降で最悪の状況に追いやった事件の主役だ。先週漏洩したこの映像は、無人でありながらその領有権が激しく争われている尖閣諸島(中国名は釣魚島)の近海で、中国の漁船が日本の海上保安庁の巡視船に体当たりをしている様子を示そうとしたものだ。 ビデオ流出で再び火がついた論争 この映像が世に出たことで、日本が漁船船長を逮捕したことを巡る論争に再び火がついている。9月にはこの逮捕が日中の外交問題に発展した。
2010年10月18日16:54 中国のリスク。問題は騒動が収まってから カテゴリ経済 kinkiboy Comment(6)Trackback(1) たまに食事する店でお目にかかる金型メーカーの若い経営者の人に、円高の影響があるかと尋ねると、そよれりも、尖閣問題での日中の摩擦が起こり、納期が読めなくなったことが原因で、仕事が戻ってきているという意外な答えが返ってきました。 尖閣問題をめぐっての輸出規制ともとれる税関検査の厳格化で納期が遅れ、中国企業に発注するリスクが認識されるようになってその会社にとってはよかったというのです。 さて、この反日騒動については謎が多いように感じます。日本では、中国の周辺都市で起こった反日デモ、また日本の自動車、店舗などの施設が襲われた騒動が大きく報道されています。 しかし、この間に気づいたことは、不思議なことに、米英の新聞は、尖閣をめぐっての領土問題での政府
尖閣列島近海での巡視船と中国漁船の衝突事件をめぐって、日中の外交関係が緊張している。 外交関係の要諦は「自国の国益を守る」という目標をできるかぎり遠く、広い射程でとらえることである。 日本の場合の「国益」と中国の場合の「国益」理解は深度も射程もずいぶん違う。 そのことを勘案せずに、「同じようなことを考えている」二国が綱の引き合いをしていると考えると、外交交渉は行き詰まる。 日本と中国はこの問題についていくつか「違うこと」を考えている。 それは、言い換えると中国の「国益」と日本の「国益」がゼロサム的な関係ではないレベルが存在するということである。 そこに指をかけて、こじあけるしか外交上のデッドロックを解決する方途はない。 日本と中国の国情の最大の違いは、中国の統治形態が日本に比べるときわめて不安定だということである。 『街場の中国論』にも書いたことだが、中国の為政者は外交上の失敗によって、「
もしくは、なぜ、若者はウヨクになるのか。 前書きと、論理の全体像 どこかで、「なぜ若者たちは、自分たちが食い物になるのに、ウヨクを支持するのか。それが分からない」などと言っているのを見た。どこだったかは忘れたし、今さら探す気もない。 そして、これが現代左翼層のリアルな認識だろう。「自分たちはいつでも生活者の立場に立っているのだから、生活者である若者は我々の味方につくはずだ」。いわゆるブルジョワジーとプロレタリアート的な社会理解は左翼の本分である。 しかし若者は……若者といっても、ここでは「若者」の基準を明確にしておいたほうがいいだろう。ここからいう「若者」は特に断りのない限り、「フリーターやニートなど、学歴も収入も低い若者」であると考える。つまり、ネットで知識人気どった「ウヨ厨」の事を指す。年代はひとまず、若者というにはすでに厳しい25歳以上、30才以下を想定するが、もう少し上下広げても構
取材で鳩山政権の迷走について訊かれる。 どうして日本政府はアメリカに対して毅然とした態度が取れないのかというお訊ねである。 メディアは単純に「それは総理が無能だから」という属人的な説明でケリをつけようとしている。 もちろん統治者の資質が外交の成否に深く関与するのは事実である。 だが、現在の日本のメディアの、すべての政治的できごとの成否を属人的な能力によって説明するスキームの定型性に私はいい加減うんざりしている。 たしかに、外交がうまくいっていないという事実に為政者の個人的能力はふかく関与している。 けれども、それが「外交の失敗のすべての理由である」としてそれ以上の吟味を放棄するのは、思考停止に等しい。 歴代の統治者たちが組織的にある外交に失敗するとしたら、それは属人的な要素によっては説明できない構造的な問題があるのではないか、と考えるのが科学的な考え方である。 日本のジャーナリストには、こ
日本での「祝賀」報道とは裏腹に、9日に発表された「ノーベル平和賞」受賞のニュースは、アメリカ社会にとって、そしてオバマ大統領にとっても驚きと困惑以外の何物でもありませんでした。慎重に言葉を選んだ9日午前の会見、そして12月の授賞式にノルウェーには行くが、賞金は全額寄付するという「苦渋の落としどころ」その全てがオバマの「窮地」を物語っています。 問題は2つあります。まず医療保険改革でアメリカの保守派と全面対決状態のオバマにとっては、「国際派エリートのきれいごと」を嫌う保守派をこれ以上刺激したくないということがあります。また、アフガンの戦況が思わしくない中、平和賞をもらっておきながら増派というのも国外から非難されますし、逆に平和賞をもらった勢いで宥和策などということでは、やはり国内保守派からは強硬な反対が起きるのです。 オバマの周囲は「先週の五輪が当たりで、今回の平和賞がハズレだったら良かった
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