かつてアメリカンオルタナティブコミックが一部で流行った時からもう20年近く経つ。ダニエル・クロウズのゴーストワールドがブームの発端だったと思うのだけれど、それ以外にもジム・ウードリング、クリス・ウェア、アーチャー・プレウィット(シー・アンド・ケイク)、そしてエイドリアン・トミネらのコミックが翻訳されて立て続けに出版されていた。その中でも一番心を惹かれたのがトミネの作品で、アメコミ=ヒーローものというイメージから程遠い物語である事と、何よりレイモンド・カーヴァーの様な世界を描いたコミックがある事が大きな驚きだった。そもそもトミネを知ったのは、2001年にプレスポップが発行したフリーペーパーに載っていた短編のひとつで、その話が収録された「スリープウォーク」の邦訳が出たのが2003年と、出版まで少し開きがある。 beamsが出版していたIn the cityの表紙や、ニューヨーカー誌の表紙など頻