賞味期限、放射線量、電車内での携帯電話……私たちはさまざまな基準値に囲まれて、超えた/超えないと一喜一憂して暮らしています。しかし、それらの数字の根拠を探ってみると、じつに不思議な決まり方をしているものが多いようです。 そんな不思議な基準値の実情を、「基準値オタク」を自称する俊英研究者4人による書籍『基準値のからくり――安全はこうして数字になった』から抜粋して、全6回の短期連載でお届けします。 基準値が定められたプロセスには、じつに意外なもの、興味深いものが多く、その根拠を知ると、驚かされることがしばしばである。たとえば日本では、20歳未満の飲酒は未成年者飲酒禁止法で禁じられているが、なぜ「20歳」という数字に決まったか、みなさんはご存じだろうか。 国税庁のウェブサイトなどには、20歳未満の飲酒は脳の機能を低下させる、臓器に障害を起こしやすい、性ホルモンに異常を起こしやすい、アルコール依存