地球温暖化を超えて地球沸騰化とも言われる時代。その影響は、ふだん見えにくい「海の中」にも確実に忍び寄っています。 魚たちが住みかを北に移していることが、最新の研究結果で明らかになりました。読み解く鍵が、環境DNAです。 (福岡局記者 早川俊太郎、札幌局記者 川口朋晃、おはよう日本記者 梶田昌孝)
地球温暖化を超えて地球沸騰化とも言われる時代。その影響は、ふだん見えにくい「海の中」にも確実に忍び寄っています。 魚たちが住みかを北に移していることが、最新の研究結果で明らかになりました。読み解く鍵が、環境DNAです。 (福岡局記者 早川俊太郎、札幌局記者 川口朋晃、おはよう日本記者 梶田昌孝)
近年、生物モニタリングにおいて、環境中に残存するDNA(環境DNA)を分析し、そこに存在する生物を網羅的に検出する「環境DNA分析」の利用が広がっています。しかし、これまでの環境DNA研究はほとんどの場合、ある種や系統がいる・いない、といった情報を引き出すのにとどまっていました。 今回、潮雅之 白眉センター特定准教授(現:香港科技大学助理教授)、益田玲爾 フィールド科学教育研究センター教授、笹野祥愛 農学研究科博士課程学生(現:水産研究・教育機構研究員)、宮正樹 千葉県立中央博物館主任研究員、長田穣 東北大学助教らの研究グループは、千葉県房総半島沿岸から得た魚類環境DNAの高頻度時系列データを解析することで、魚種間の関係性を検出できることを示しました。 本研究で示された環境DNA時系列データから生物間相互作用を検出する枠組みは、これまで困難であった「野外環境下での生物間相互作用の網羅的モニ
ホーム NEWS & RELEASE 国内希少野生動植物種スイゲンゼニタナゴの新しい調査手法を開発!~水をくむだけの環境DNA分析で絶滅危惧種の保全を目指す~ 国内希少野生動植物種スイゲンゼニタナゴの新しい調査手法を開発!~水をくむだけの環境DNA分析で絶滅危惧種の保全を目指す~ 2022年12月21日 岡山大学 農研機構 ◆発表のポイント 淡水魚のスイゲンゼニタナゴは、種の保存法で国内希少野生動植物種に指定されており、早急な保全策が必要とされています。国内希少野生動植物種に指定されている魚類はわずかに10種のみです。河川や農業水路の環境水中には、生息している生物から糞や粘液などが排出されますが、それらの中にはその生物に由来する環境DNAが含まれています。本研究では、環境DNA分析によってスイゲンゼニタナゴの生息の有無を推定できる新たな調査手法の開発に初めて成功しました。環境DNA分析にお
今日(3月30日)は、東京で10年ぶりに黄砂が観測されるなど北日本から西日本の各地で黄砂が話題になっていますが、その裏で気象庁と環境省からたいへん重要な報道発表がありました。内容は「生物季節観測の発展的な活用に向けた試行調査の開始について」というもの。 私自身はこのニュースを聞いて、たいへん嬉しく感じました。というのも、70年近くに及ぶ貴重な観測データが、廃止されることなく今後も存続することが、ほぼ確実になったからです。 生物季節観測とは何か 昨年11月10日、気象庁はこれまでの生物季節観測を見直すとして、2021年(今年)から動物の観測を完全に廃止し、また植物の観測も大幅に縮小するとの発表をしました。このニュースは新聞やテレビなどでも大きく取り上げられ、気象関係者のみならず、多くの方の関心を呼びました。(参照記事) 簡単に生物季節観測について補足すると、気象庁は1953年から季節の進み具
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター集積バイオデバイス研究チームの田中陽チームリーダー、船野俊一研究員、田中信行上級研究員らの共同研究グループは、底棲生物[1]であるシビレエイ[2]の自律的な動きを利用し、海底地形図の作成が可能であることを実証しました。 本研究成果は、海底の地形情報を幅広く社会に還元し、さまざまな分野で役立てることに貢献すると期待できます。 今回、共同研究グループは、従来の計測機械を用いた海底探査とは全く異なる、底棲性で電源としても使えるシビレエイを生物エージェント[3]として用いた方法を提唱し、その手法の妥当性を検証しました。まず、大型水槽でシビレエイの撮影動画から動きをプロットし、シビレエイがほとんどの時間、底付近を動いていることを確認しました。次に、シビレエイに小型音響送信機のピンガー[4]を装着して海底に放ち、その位置を追跡することにより、海底の地形情報が
生物季節観測(せいぶつきせつ かんそく)は、気象庁が行う、生物季節現象(気温や日照など季節の変化に反応して生物が示す現象)で[1]を目や耳で確かめて、現象の確認できた日を記録する観測[2][3]、日本の気象庁が、季節学に基づいて行っている。 概要[編集] 生物季節観測は、1953年(昭和28年)に始まった。日本全国に分布し、一律に観測しうる「規定種目」と、地域特性などから各地の気象台が独自に選んだ「選択種目」を観測している。サクラの開花やカエデの紅葉など生活に身近な生物に着目するので人々の季節感に訴える手軽な指標である。同じ生物現象を毎年定点観測することによって、観測地点の季節の進み具合を過去と比較したり、季節の進み具合を他の地点と比較したりすることができる。いくつかの観測データは春の早まりと秋および冬の遅れを長期的傾向として示しており地球温暖化の可能性を示す具体的事例である。また、手軽に
動物の初鳴きや植物の開花など、気象庁はおよそ70年間続けてきた動植物の観測のおよそ9割をことしいっぱいで廃止することになりました。 気象台周辺の都市化などが進んで観測が難しくなったためですが、「さくら」や「かえで」などは引き続き観測が続けられます。 気象庁は、季節の移り変わりや気候の変化を伝えることを目的として、70年ほど前の昭和28年以降、動物の初鳴きや植物の開花などといった「生物季節観測」を行い、公表しています。 各地の気象台の職員などが観測している動植物は、「うぐいす」や「あぶらぜみ」「さくら」「うめ」など合わせて57種類で、中には「しおからとんぼ」や「とのさまがえる」などもあります。 しかし、近年は、気象台周辺で都市化が進むなど生態環境が変化し、標本とする植物の確保や対象の動物を見つけることが難しくなっています。 例えば「とのさまがえる」は、観測が開始された昭和28年には全国38か
本日(11月10日11時)、気象関係者にとっては大きなニュースが気象庁から発表されました。気象庁は「来年(令和3年)1月より生物季節観測を見直す。」というのです。それも、動物観測を完全に廃止するとのことで、率直に言って、そこまで予算に困っているのか!という思いです。 今年の秋から気象庁はホームページに広告をつけるなど(現在は停止中)、予算緊縮で台所事情が厳しくなっていることは容易に想像がついていました。しかし、今回行われる「生物季節観測の見直し」は、動物季節観測の全廃を前提としており、これは大きな社会的問題をはらんでいると思われます。 生物季節観測とは何か 生物季節観測には、身近な動物を観測する”動物季節観測”と植物を観測する”植物季節観測”の二種類があります。いずれも、季節の進み具合や長期的な気候の変動を把握するなども視野に入れた重要な観測です。 観測の方法そのものは、ある意味原始的な方
米グランド・ティートン国立公園のシュワバッカー・ランディングで泳ぐビーバー。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 米国西部で森林火災が猛威を振るっている。カリフォルニア州では120万ヘクタール以上が焼け、オレゴン州では50万人以上が自宅からの避難を余儀なくされた。そんな中、我々が火災と闘ううえで、心強い仲間がいることがわかった。ビーバーだ。 学術誌「Ecological Applications」に9月2日付けで発表された研究によると、ビーバーがダムや池を作り、水路を掘ることで、動植物にとっての防火シェルターが生まれていることが判明した。場合によってはこれが森林火災の延焼を止めることさえある。 「すぐ隣で火事が起こっていても平気です」。そう話すのは、米カリフォルニア州立大学チャンネル・アイランド校の
ウミガメに水温のセンサーを取り付けてデータを集め、長期的な海水温の予測の精度を高めるユニークな手法を海洋研究開発機構などが開発しました。 海洋研究開発機構と東京大学などの研究グループは、インドネシアの海岸で産卵のために浜辺に来た5頭のウミガメの甲羅に水温のセンサーを取り付けました。 センサーは、水深ごとに水温を測定し、水面に出ると人工衛星経由でデータを送信する仕組みになっていて、およそ3か月間の計測でウミガメは最大で1000キロ以上を移動し、水深250mまでのデータを集めることができたということです。 このデータを加えて計算した結果、インドネシア周辺の海域で3か月後の海水温の予測の精度を大幅に向上でき、実際の海水温の変化に近づけることができたということです。 センサーは、ウミガメが餌を取るのに邪魔にならず、2年以内に自然に外れるよう設計し、特別な許可を受けて取り付けたということで、グループ
【動画】特製のランニングマシーンと水着を作って、研究者が赤ちゃんウミガメの持久力を測定した。(字幕は英語です) ウミガメの赤ちゃんはどれくらいたくましいのだろうか? ウミガメの保護を目的として、孵化したばかりのウミガメの持久力を試す研究が行われ、学術誌「Journal of Experimental Biology」に発表された。 野生の状態では、生まれたばかりのウミガメは、夜間、陸側より明るい海の水平線を頼りにして、孵化してからほぼ24時間のうちに浜から外洋に向かって泳ぎ出す。 しかし、光害のために子ガメが方向を見失い、陸で長時間過ごすことになり、結果として危険にさらされやすくなっているようだ。生まれて数分で海に向かって駆け出すはずが、方向を見失って何時間も陸を歩き回ることもある。(参考記事:「【動画】鼻にストローが刺さったウミガメを救助」) そこで、米フロリダ、アトランティック大学の研
昨年の12月24日、ヘリコプターから降りて5年ぶりに南極の土を踏みしめたとき、私は目の前に広がる景色にギョッとした。氷がない。海を厚く覆っているはずの白い海氷が、今シーズンはすっかり姿を消し、青々とした海面が露出している。ちゃぷちゃぷという波音が絶えず聞こえてくるのも、異様な感じがした。いつもなら氷が海に蓋をして波を打ち消し、静寂の世界をもたらしているからだ。遠くに浮かぶ氷山さえなければ、伊豆や三浦あたりと錯覚するほどの、平凡で平和な海がそこにはあった。 早速、アデリーペンギンの集団営巣地を訪れてみると、子育ての真っ最中だった。無表情で直立している親ペンギンの足元に、ヒヨコを灰色に染めたような雛がちんまりと座り、ヒーヒーと鳴いて餌をねだっている。隣の巣では親ペンギン同士が向かい合って上空を見上げ、けたたましく鳴き交わしている。
東北大学歯学研究科、理学研究科、農学研究科、加齢医学研究所等からなる共同研究グループでは、福島第一原発事故の後、旧警戒区域に放たれたウシの歯を収集し、それらの歯に含まれるSr-90の量を測定し評価してきました。 本研究では、年齢の違う8頭の牛から9本の歯をそれぞれ採取し測定を行い、原発事故以降に形成された歯のSr-90濃度が、事故前と比べて高くなっていることを見出しました。このことから、歯の中のSr-90の放射能量から個体の内部被ばく線量を評価する手がかりを得られることが分かりました。原発事故により、環境中に存在する安定ストロンチウムにSr-90が加わったため、環境中のSr-90と安定ストロンチウムの比(比放射能値)は、Sr-90が降下した場所と事故からの経過時間により異なります。 本研究から、歯の中の比放射能値は、ウシの採取場所と時期、年齢、歯の形成段階により異なることが分かりました。し
研究成果のポイント 赤外線カメラを用いることで、直接観察の難しい野生動物の日周活動性を8種同時に解明。 哺乳類の日周活動性は夜行型、昼行型、薄明薄暮型、一日中型の4つに明確に区分。 日周活動性は、薄明薄暮型や一日中型では季節変化する一方で、昼行型や夜行型では季節変化しないことが判明。 研究成果の概要 北海道大学大学院地球環境科学研究院の池田 敬日本学術振興会特別研究員(現:国土交通省国土技術政策総合研究所研究官)及び小泉 逸郎准教授、北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の内田 健太氏、森林総合研究所の松浦 友紀子主任研究員及び高橋 裕史チーム長、酪農学園大学の吉田 剛司教授、東京農工大学の梶 光一教授による研究チームは、ヒグマ、エゾシカ、キタキツネ、ユキウサギ、ホンドテン、アライグマ、タヌキ、エゾリスが明確な日周活動性を示すこと、一部の哺乳類は日周活動性を季節的に変化させることを、カメラ
昨年11月に国際原子力機関(以下、「IAEA」という。)及び我が国国内の分析機関が実施した、「水産物の放射性物質の測定に係る機関間の比較」について、IAEAより我が国国内の分析機関が東京電力福島第一原子力発電所近海で漁獲した魚類サンプル中の放射性セシウムの濃度について、信頼できるデータを検出したことが公表されました。 1. 概要 昨年11月に、我が国の水産物の放射性物質測定手法の適切さを確認することを目的に、IAEA及び国内の分析機関が実施した、水産物の放射性物質の測定に係る機関間の比較(ILC:Inter-laboratory comparison)(注)について、IAEAより結果の評価が公表されました。 IAEAは、分析機関間比較に参加した国内の分析機関(3機関)が、東京電力福島第一原子力発電所近海で漁獲した魚類サンプル中の放射性セシウムの濃度について、信頼できるデータを検出したと公表
くちばしいっぱいにヘイク(タラの仲間)をくわえたニシツノメドリが、メーン州の小島イースタン・エッグ・ロックにいるひな鳥の元へ戻っていく。この小さな鳥は、繁殖期以外の1年の大半を外洋で過ごす。(Photograph by Robert F. Bukaty, AP) 英語でパフィンと呼ばれる、黒と白とオレンジ色の羽に覆われたニシツノメドリ(Fratercula arctica)。小さくてかわいらしい見た目からすると、とうてい外洋で暮らせるようなタフな鳥には見えないかもしれないが、それは大きな間違いだ。(参考記事:「癒やしの鳥 パフィン」) まず、彼らの体は、完璧な防水性能を持っている。そのうえあの小さな体で、巣立ちをしたばかりのひな鳥と一緒にまるまる2年という長い時を波間で過ごしてから、彼らはようやく陸地に戻ってくる。 ニシツノメドリの生態については、過去40年間で多くのことがわかってきた。水
みなさんこんにちは。うみラボけんきゅう員の小松です。 9月6日に「第12回うみラボいちえふ沖海洋調査」を行いまして、既報のように結果は「爆釣」、かなりの試料を入手することができたのですが、そんなに多くの魚を一気には測れないので、一部は計測イベント「調べラボ」に回し、その他の魚については、アクアマリンふくしまの富原獣医にすでに計測して頂きました。今回のその結果をお知らせします。 今回の計測データで特に注目すべきは「ヒラメ」のデータです。ですので今回はそのヒラメの結果のみ取り上げ、いろいろ考察していきたいと思います(ヒラメのほかにアイナメなどのデータもあるのですが、それは次回に更新します)。 実はうみラボでは、昨年11月に行った「第6回いちえふ沖海洋調査」におきまして10試料のヒラメの放射性物質を計測しています。結果はリンク先を見て頂ければわかりますが、今回もたくさんヒラメが釣れたので、同じ「
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