私は現在、医療を含む学際的な領域で「オープンダイアローグ(以下OD)」の普及啓発に勤しんでいる。ODはフィンランドで開発された精神病のケア技法であり、同時にケア提供システムであり思想でもあるのだが、単なる治療法と誤解されてしまうのはあまりにも惜しい。対話で人間が変わるという、掛け値なしに奇跡的な現象の解明に、オープンダイアローグ研究は大いに寄与すると考えている。 以下、対話を考える上で、私が大切に考えている本を紹介していきたい。どの本も、さきに述べた「奇跡的な現象」を理解する上で、多くのヒントを与えてくれるだろう。私自身が関わった本がどうしても入ってしまうことはテーマの性質上、ご寛恕願いたい。