イエスがオリブ山で人びとを教えていた。すると、律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をした女を引っ張ってきた。 人びとは、モーセが律法のなかで、姦淫をした女は石で打ち殺せ、と命じたことを挙げて、イエスの指示を仰ぐ。それは、イエスを試して、女を訴える口実を得るためだった。そのとき、イエスがいった言葉がこうだったのである。 「汝らのうち、罪なき者まず石をなげうて」 この言葉を聞くと、かれらは年寄から、ひとり去り、ふたり去って、ついに、イエスと、姦淫した女のふたりが残った。 そこでイエスは女に向かって、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」と尋ねる。女が、皆立ち去って、誰も残らなかった、と答えると、イエスはいったのである。 「われも汝を罪せじ、往け、この後ふたたび罪を犯すな。(わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように)」