東京工業大学 学術国際情報センター コロメンスキ・ドミトリー(Dmitry Kolomenskiy)特任准教授(研究当時)および大西領准教授と千葉大学 大学院工学研究院 劉浩教授の参画する国際研究グループは、これまで謎に包まれていた、体長わずか395 µm(マイクロメートル:1 mmの1,000分の1)の羽毛甲虫(図1-a:学名:Paratuposa placentis)の飛行性能を解明しました。この昆虫は鞘翅(しょうし:硬いはね)と羽毛状の翅とをもち、3倍の大きさの昆虫アザミウマと同速度・同加速度で飛行しますが、そのメカニズムはこれまで未解明のままでした。 研究グループは今回、この羽毛昆虫が膜状の翅と比べて8割も軽い羽毛状の翅により、独特な運動で抗力を巧みに利用して飛行していることを明らかにしました。 この成果は、国際科学雑誌「Nature」にて、日本時間の2022年1月20日に公開され
by David Good 夏の風物詩ともいえるセミの羽には、触れたバクテリアを殺してしまう強力な抗菌作用があります。アメリカのストーニーブルック大学とオークリッジ国立研究所の研究者らが、スーパーコンピューターを用いてセミの羽の微細構造の働きを明らかにし、細菌を破壊して自然に自己洗浄するメカニズムを突き止めたことを報告しました。 Structure-Based Design of Dual Bactericidal and Bacteria-Releasing Nanosurfaces | ACS Applied Materials & Interfaces https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.2c18121 Scientists use ORNL’s Summit supercomputer to learn how cicada wings
モモノゴマダラノメイガが発する超音波はメスの交尾とオスの飛翔を制御する 要約 モモノゴマダラノメイガのオス成虫は交尾直前に長短2種類の超音波パルスを発し、長いパルスはメス成虫の交尾受入れ行動を引き起こす。一方、短いパルスはキクガシラコウモリが捕食時に発するパルスと類似しており、他のオスの飛翔行動を中止させる。 キーワード:チョウ目害虫、モモノゴマダラノメイガ、超音波、行動制御、コウモリ 担当:環境保全型防除・天敵利用型害虫制御 代表連絡先:電話 029-838-6453 研究所名:果樹研究所・品種育成・病害虫研究領域 分類:研究成果情報 背景・ねらい 多くのチョウ目害虫(ガ類)は耳(鼓膜器官)を持ち、天敵であるコウモリ類の捕食から逃れるため、超音波を検出すると不動化や忌避を示す。しかし、コウモリ類が捕食時に発する超音波は5ms以下の短いパルスもしくは60kHz以上の高い周波数で構成され、ガ
アワダチソウグンバイ(その2) 今日の早朝、ベランダでコーヒーを飲んでいると、目の前にあるセイタカアワダチソウの茎に何か極く小さな虫がくっ付いている。雰囲気からして、何となくハモグリバエ風。その時は、一寸事情があってその儘にしておいたのだが、4時間程経ってからベランダに一服しに行くと、まだ同じ所に留まっている。やはりこれは撮るべきであろう、と考えてカメラを持って来た。 マクロレンズで覗いてみると、翅に模様があり、お尻の先が出っ張っている。ハモグリバエの雌もお尻の先が出っ張っているが、翅に模様はない。模様があってお尻の先が飛び出しているのはミバエ(例えばツマホシケブカミバエ)である。しかし体長は約2.0mm、こんな小さなミバエが居るのだろうか??セイタカアワダチソウの茎に張り付いていたアワダチソウグンバイ展翅した様な格好、グンバイムシの後翅を見たのはこれが初めて体長は約2.0mm.約2倍の超
どうしても昆虫が苦手だという人は多いだろう。だが、好む好まないにかかわらず、昆虫は地球が円滑な生態系を築く上でなくてはならない存在だ。 今、世界中で昆虫が激減しているそうだ。『PNAS』(1月12日付)の特集に寄せられた一連の研究では、50名以上の専門家によって世界に生息する昆虫の数がまとめられている。 それによると、現在の傾向がこのまま続けば、今後20年で昆虫の3分の1が消えてしまう恐れあるという。
最初に言っておくけど、自分は昆虫の専門家でも何でもない。ただ子供の頃から昆虫が好きで、昆虫を捕ったり飼ったり図書館で本を読んだり考えたりしてわかったことを書きます。 ちなみに内容的には新規性は特になくて、ググれば似たような内容は見つけられると思う。(専門家の方、間違っていることがあれば訂正してください) 昆虫が大きくなれない理由は主に2つある。一つは循環器、もう一つは骨格。 昆虫を含む節足動物にも血液はある。心臓もある。ただ脊椎動物と違うのは、循環器が開放系だということだ。 脊椎動物の循環器は、体の中心に心臓があって、そこから体の末端まで張り巡らせた血管を通して体のすみずみまで血液を行き渡らせるしくみ(閉鎖系)になっている。 昆虫の場合、閉鎖した血管を持たない。スポイトとかスポンジとかをイメージしてほしいのだが、水を含ませて皿の上とかでギュッと押すと皿の上に水が広がる。離すとまた戻る。昆虫
気象学では、水滴の直径が0.5mm以上の降水を雨といいます。普通に観察される雨粒の最大直径は2~3mm。落下速度は雨粒の直径によって変わりますが、直径1mmの雨粒では毎秒4mになるそうです。いま、直径2mmの雨粒が毎秒4mの速度でぶつかったときの衝撃を考えてみましょう。直径2mmの球体の体積は、4Πr3/3の式より約4 mm3=4×10-3 cm3。水の比重1g/cm3を掛けると、雨粒の重さはおよそ4×10-3 g=4mgです。mΔv=FΔtの式から衝撃荷重Fを求めましょう。雨粒の重量m=4×10-6 kg、速度変化Δv=4m/s、衝突時間(雨粒の直径を速度で割った値)Δt=(2×10-3)/4=5×10-4sを代入すると、F=32×10-3 kg・m/s2 [N]=3.2g重となります。つまり、この雨粒が1粒がぶつかると、0.5msの衝突時間で3.2gの重さを感じることになります。 飛ぶ
2013年01月14日掲載 【オオヒラタシデムシにおける飛翔能力の退化過程】 飛翔能力の獲得は、昆虫の長い進化史の中でも特に重要なイベントの一つです。しかし、飛ぶには多くのエネルギーが必要なため、このような飛翔能力が退化して飛べなくなった種も多くいます。今回は、種内で飛翔能力に2型の見られる種、オオヒラタシデムシにおける飛翔能力の退化過程について調べた研究を紹介します。 はじめに 昆虫は非常に種数の多い分類群として知られています。約4億年前に起きたとされる飛翔能力の獲得は、この莫大な種数をもたらした要因の一つだと考えられています。飛翔能力というのは、長い距離を移動できるとともに、餌や交配相手を探すうえでも有利な能力です。しかし、飛ぶための器官を持つには多くのエネルギーが必要とされるため、様々な分類群において飛翔能力は退化してきました。そして、退化の途中段階にあると考えられる、飛翔能力に多型
シダの葉の上で巨大な翅を広げるアメリカ産の大型ヤママユガ、アメリカオオミズアオ(Actias luna)。米ノースカロライナ州で撮影。(PHOTOGRAPH BY AL PETTEWAY AND AMY WHITE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) アフリカ原産のヤママユガ、アフリカオナガミズアオ(Argema mimosae)が巨大な緑色の「翼」を広げると、卓球のラケットほどの大きさになる。見た目が美しいだけでなく、腹をすかせたコウモリにとって、このガは大きな翅の間にジューシーで栄養たっぷりの体をもつ貴重なご馳走だ。 アフリカオナガミズアオの後翅からは、独特な形の一対の長い尾(尾状突起)が垂れ下がっている。いかにも捕まえやすそうに見えるかもしれないが、すぐれた反響定位(エコーロケーション)の能力をもつコウモリがこのガをねらうと、たいてい捕まえ損なってしまう。い
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