事態は吉本興業vs.芸人という図式となりつつあるが、そもそもこの問題の発端となった芸人と反社会勢力との関係については、いまだ語られていない部分が多い。問題の本質は一体どこにあるのか? 『襲撃 中田カウスの1000日戦争』(朝日新聞出版)の著書もあり、闇社会に詳しいノンフィクションライターの西岡研介氏に、芸人と反社との関係について話を聞いた。 ◆ ◆ ◆ 芸事と反社との関係はどう変わっていったか そもそも芸事と反社との関係は根深いものがあります。江戸時代のころから、「興行」を打つにはヤクザへの挨拶がつきものでした。それは、朝ドラ「わろてんか」のモデルとなった吉本せい氏を主宰者として、1932年に「吉本興業合名会社」を発足してからも変わらなかった。ヤクザのテリトリーで興行を打つ際には必ず、彼らのところに挨拶に出向き、「所場代(ショバダイ)」と呼ばれた“営業権料”を差し出す、という習慣が定着して