今回の中国発のコロナウィルス感染症の拡大が北朝鮮に及ぼす影響は、比喩的に申し上げれば、「弱り目に祟り目」と言ったところだろう。これが嵩じると「失明」に至る危険がある。 カミュの「ペスト」: 不条理が集団(都市)を襲った物語 筆者は、新型コロナウイルスの感染拡大の様を見ていると、アルベール・カミュが書いた小説『ペスト』を思い出す。奇しくも出版は筆者の誕生の年の1947年だ。 カミュは、中世ヨーロッパで人口の3割以上が死亡したペストを、不条理が人間を襲う代表例と考え「ペスト」で、不条理が集団(都市)を襲う様子を描いた。 物語(当然フィクション)は、フランスの植民地であるアルジェリアのオラン市をペストが襲うという設定だ。 ペストが蔓延する中、人々が何もコントロールできない無慈悲な運命を非情な語り口で描いている。 新型コロナウイルスが発生し、感染が拡大している武漢市あるいは中国全土は「ペスト」の舞