ゴッホの弟テオと結婚した女性 画家フィンセント・ファン・ゴッホの弟で、すでにパリの画商として名をなしていたテオドルス・ファン・ゴッホ(通称テオ)が、ヨハンナ・ボンゲルという名の22歳のオランダ人女性に出会ったのは1855年のことだった。 テオが兄フィンセントの最大の理解者で、その情熱を支え、フィンセントの常軌を逸した人生に死ぬまで寄り添っていたことは歴史の知るところだが、そのテオには性急なところがあった。2回会っただけの彼女に求婚したのだ。 ヨハンナ(通称ヨー)はつつしみ深い中流家庭の出身だった。父親から貞節を守り、感情を抑制しろと教えられて育った。アムステルダムで英語教師として身を立て、面白味のないキャリアを歩んでいた。衝動に身を任せるタイプではない。プロポーズには「ノー」と答えた。