金の価格が1トロイオンス=1500ドルを突破して史上最高値を更新し、銀価格は同45ドルを超えた。西側諸国の巨額債務が貴金属の魅力を磨き上げた格好だ。 中国や欧州でインフレが高進し、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国はトリプルA格の信用格付けを失う恐れがあると警告する中、投資家は紙幣価値の低下に対する懸念に注目している。 「問題は、各国政府が経済情勢をコントロールする力を取り戻せるかどうか、だ」。日本の大手商社、三菱商事の貴金属ストラテジスト、マシュー・ターナー氏はこう話す。「現在、金がドル建てで上昇しているのは、人々が、米国は統制力を失いつつあると見ているからだ」 金と銀が力強く上昇する一方、ドルは20日に主要通貨のバスケットに対して16カ月ぶりの安値をつけ、史上最安値に迫った。 不死身に見える上昇相場 金の投資家のムードは年初から急激に反転した。今年初めは、世界経済に対する強