長期化する米中の構造的対立 既存覇権国と新興挑戦国の対立は不可避 いまだに米中対立を「貿易戦争」の枠内に閉じ込めた矮小化した議論が見られるが、米中は、すでに構造的・長期的対立に入っている。 それは、米中の覇権争いや新冷戦と呼ばれている。 以前、米国をはじめ西側諸国では、中国を巡って、経済が発展すれば自由や民主主義といった西側の価値観に近づいてくるという期待感があった。 しかし中国は、この10年で経済成長を背景にすっかり大国として振舞うようになり、「世界一流の軍隊」の建設を目標としつつ、東シナ海・南シナ海で見られるように、力による一方的な現状変更を試みるとともに、西側の価値観とは相いれない価値観を世界に広めていると指摘されている。 中国の台頭は、以前から予想されていたにもかかわらず、自由で開かれた世界の秩序を揺るがす危うい動きとして、国際社会から反発を招くようになっている。 米国の対中政策は