新車試乗レポート 更新日:2023.12.11 / 掲載日:2023.12.08 MX-30 R-EV もっとも現実的な回答【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】 文●池田直渡 写真●マツダ マツダのMX-30 R-EV(以後R-EV)にようやく試乗した。が、しかし最近の電動化モデルはだいぶややこしいことになっている。R-EVにはエンジンとバッテリーとモーターが搭載されているから語源に従えばハイブリッドだが、メーカーが考えた使い方は、本質的にはBEVである。 それが意味することはすなわち、自宅の充電器で基礎充電をして運用することが前提になる。残念ながら集合住宅にお住まいの方のほとんどはお呼びでない。搭載バッテリーは17.8kWhとBEVにしては極端に小さい。しかしこれこそがR-EVの大きな特徴であり、戦略的設定でもある。 バッテリー資源は全然足りないし、バッテリーは高い。まともなエンジニアな
さて、おそらく金曜日からあちこちでマツダの新しいロータリーエンジンの記事が出ているだろうと思う。新たに登場した8C型ロータリーは、かつての13B型と何が違うのかがかなりこってり目に解説されているはずだ。 まあ、筆者も同様に取材してきたので、結局はそこも書くのだけれど、その前にマツダは一体何を考えて、何をつくろうとしたのかの話から始めないといけない。ということで、またもや長いマツダの話が始まる。 今回登場した「MX-30 ROTARY-EV e-SKYACTIV R-EV(以下、R-EV)」 を端的に説明すれば、メカニズム的には2021年に発売された「MX-30 EV MODEL(以下、EVモデル)」のモーター/発電機と同軸に、発電専用ワンローターロータリーエンジンを追加したものだ。 発電専用エンジンを搭載して電欠のリスクをなくしたことと引き換えに、EVモデルに搭載されていた35.5kWhの
マツダの新型車「MX-30 ロータリーEV」は、発電機としてロータリーエンジンを搭載するシリーズ式プラグインハイブリッド車(PHEV)だ。それにしても、なぜマツダは今になってロータリーエンジンを復活させたのか。普通のレシプロエンジンではダメだったのか。事前取材会で話を聞いた。 マツダのロータリーエンジンが復活! なぜ? ロータリーエンジンは小さいから? エンジンを発電機として使うハイブリッド車(HV)といえば、日産自動車の「e-POWER」というシステムが思い浮かぶ。例えば日産自動車のコンパクトカー「ノート」 は、1.2Lの直列3気筒エンジンとモーターを組み合わせたシリーズ式ハイブリッド車だ。 「MX-30 ロータリーEV」は17.8kWhのリチウムイオンバッテリーを積んでいて、外部からも充電できる。だからシリーズ式の「プラグイン」ハイブリッド車というわけだ。充電しておけば電気自動車(バッ
マツダは電気自動車(EV)の専用車種を本格投入するため、主力市場の北米における車載電池の調達やEV完成車工場への投資を2028年以降に始める見通しだ。電池調達先について毛籠勝弘マツダ社長は、交渉中のパナソニックが「北米のパートナーとしては有力」とする。28年以降とするEV本格投入は国内他社より2―3年遅い計画だが、自社を「意思を持ったフォロワー」(毛籠社長)と位置付け、技術を蓄積しながらサプライチェーン(供給網)を構築し、一定の時間をかけてEVシフトを進める考えだ。 マツダが現在、市場投入しているEVは日米欧に投入した「MX―30」と中国向けの「CX―30」のみ。主力は内燃機関車が中心で、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)も展開を増やしている。EVは25年からグローバルに市場投入を始める。さらに開発中のEV専用車種を26年以降に先行投入し、28年以降に本格投入する計
車の最新技術 更新日:2023.02.17 / 掲載日:2023.02.17 マツダ ロータリーEVの意味を考える【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】 文●池田直渡 写真●マツダ 1月13日、マツダは「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV」をブリュッセルモーターショーで初公開した。 構造的には、2021年に発売された「MX-30 EV MODEL」に発電専用エンジンを追加したもの。EVモデルに搭載されていた35.5kWhのバッテリー容量を約半分の17.8kWhに落とし、モーター/発電機と同軸にワンローターエンジンを追加したモデルだ。 さて、このR-EVすでにネットではその燃費性能に文句が殺到しているのだが、筆者としてはそれを見て肩をすくめる思いである。マツダがやっていることが全く理解されていない。 現在BEV界隈の大きな問題のひとつはバッテリーの不足である。供給量が少ない
電気自動車(EV)への移行は一部で想定されるようなスピード感では進まない。そう訴えるトヨタ自動車の豊田章男社長に同社と協業するマツダ幹部から同調する声が上がった。 マツダの古賀亮専務執行役員は30日、同社が2年前にEV比率を25%とする目標を発表して以降、米国のインフレ抑制法(IRA)など各国で電動化を加速する政策が推進されているが、「その通りにはいかないだろうな、というリスクもたくさんわれわれは感じている」と語った。EVへの移行が「想定通りにいかない」理由として古賀氏は5つの点を挙げた。 IRAや欧州の電池規則に適合するには部品サプライチェーン(供給網)を「根本から作り直すようなことになる」ため、莫大な投資と「ものすごい時間がかかる」。「10年仕事という人もいる」とも。足元で資源調達のリスクが出ていることに加え、IRAの規則に適合しようとすれば「電池の取り合いになるのは目に見えている」。
マツダドイツは、2022 MX-30を発表しています。インテリアとエクステリアカラー、充電機能などを更新しています。 独マツダ、2022 MX-30を発表!内外装と充電機能を更新! Mit optimierter Ladetechnik und einem erweiterten Ausstattungsangebot startet der Mazda MX-30 ins Modelljahr 2022. Zudem werten neue Multi-Tone-Außenlackierungen und ein neues, drittes Designkonzept für den Innenraum das Mazda Elektrofahrzeug auf. (2022年モデルでは、充電技術の最適化と装備の充実を図るとともに、マルチトーン塗装の外装や第3のデザインコンセプトを採用
ただし北米では他のEVに押されて販売が伸びていない さて、マツダが満を持して発売したMX-30 EV Modelですが、今ひとつ販売が伸びないもよう。 主戦場だと思われる欧州では2021年に1万台超を販売していますが、同じ期間での「EVトップ」だったルノーZOEの販売はおよそ10万台なので、ほぼ10倍程度の差がついている、ということになります。 ちなみに2位はテスラ・モデル3の9万台超、3位のフォルクスワーゲンID.3は5.5万台くらい、そしてホンダeはマツダMX-30 EVモデルよりも少ない4,400台くらいという統計が出ています。 なぜマツダMX-30 EVモデルは売れていない? そこでMX-30 EVモデルがなぜ売れていないのかということについて考えてみたいと思いますが、これは簡単にいうと「航続距離が短い割に価格が高いから」。 割高と言われたミニクーパーS Eよりもコストパフォーマン
担当編集Y(以下、編集Y):「いきなりXと言われても」と思う読者の方もいると思いますので、池田さん、ここでちょっとXの説明をしてください。 池田:いやYさん、ここでなぜ廣瀬さんに聞かないの(笑)。SKYACTIV-Xというのは、これまでのガソリンエンジンとは、もう燃焼の理論から全く別物の新発明エンジンですね。HCCI(予混合圧縮着火)という方式で、理論としては世界中のメーカーが注目していました。あらかじめ燃料と空気を混ぜた「混合気」を、圧縮して温度上昇させることで着火させるんです。 写真はMAZDA3に搭載されているSKYACTIV-Xエンジン。燃焼室の中で気化した燃料に対し、点火プラグから火が燃え広がるのではなく、「全部が一気に燃える」というのが特徴。混合気が一気に燃えるので、徐々に燃えるプラグ点火より圧力が上がって熱効率が向上する。また、薄い混合気でも燃やせるので、低負荷域での燃費が大
9月後半から、欧州での電気料金高騰がちょっとした騒ぎになっている。寒冷地では、電気料金を払えず暖房が使えないことから、生きるか死ぬかにつながりかねない状況が生じ、フランスやイタリアでは、支払いができない家庭に対して、補助金を拠出する計画まで発表されている。スペインでの小売り電力料金は昨年同期と比べて約4割上昇。卸売りの料金では、1年半前の10倍になったという。欧州委員会は対応策のガイダンスの策定を迫られた。 本質的な原因は、2014年から2016年あたりに話題になった原油価格の暴落だ。しかも価格低下のブレーキでもあるOPECの減産調整が不調に終わり、原油価格が漂流状態になった。その結果、利益見込みが不透明な採掘への投資が激減し、石炭と石油が不足する流れができていた。石炭石油の資源開発は一般に5年程度といわれており、時期的にピタリと符合する。 原因のもう一つは急速な再生エネルギー(再エネ)へ
マツダが公表しているREレンジエクステンダーのエンジンルーム内と電動モーター+発電機のパワープラント。MAZDA3/CX-3/MX-30のエンジンルームに収まるサイズだ。BEV仕様より重量はあるが、ICE車比ではどうだろうか。見た感じ、重心高は低い。 2011年4月19日、オート上海2011の会場に、小さな発電用RE(ロータリーエンジン)を積んだレンジエクステンダーBEV(バッテリー・エレクトリック・ビークル=外部からの充電で走る電気自動車)が展示されていた。その前年、2010年2月のジュネーヴ・ショーにアウディが出品した「A1 e-tron」はシングルローター254ccのREを発電専用に使っていた。両方とも試作車に終わったが、いよいよマツダが発電専用REを積むレンジエクステンダーBEVを市場投入する。その姿を想像してみた。 TEXT◎牧野茂雄(MAKINO Shigeo) すべての写真を
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