「泥人魚」「ベンガルの虎」などテント劇場で時代を挑発し日本の演劇界をリードした劇作家、演出家、俳優で文化功労者の唐十郎(から・じゅうろう、本名・大●義英=おおつる・よしひで)さんが4日、急性硬膜下血腫のため東京都内の病院で亡くなった。84歳だった。(●は雨かんむりに鶴) 【写真】これは貴重…状況劇場の紅テントと劇団員。中央が唐十郎さん(1968年、東京・新宿の花園神社境内で) 東京生まれ。下町で育った。明治大文学部で演劇学を専攻。卒業後、劇団「状況劇場」を結成。前衛舞踏家の土方巽の影響を受けて既存の演劇公演に反発し、1967年に東京・新宿の花園神社に初めて紅(あか)テントを仮設し、独自のスタイルで公演を始めた。70年、「少女仮面」で岸田國士戯曲賞。都会のノイズを皮膜一枚で隔てた空間に現出させる詩的で猥雑(わいざつ)な劇世界は熱狂的な人気を集め、日本の演劇界を変革したアングラ小劇場運動を先導