率直に言えば、海外ならともかく日本の映画祭でのコンペティション上映には、かなり躊躇があった。扱っている主題が同じ国に住む人たちの、それも直近の、あまりに大きな悲劇であり過ぎる。 そして半年経った今でもその人たちの抱える問題は深刻になりこそすれ解決にはほど遠いのが現状だし、それは11月末の上映の時にも、恐らくなにも変わっていない気がする。 編集中の8月初旬に郡山と会津若松に追加撮影に行き、避難先の人たちに会ったときにも、問題はもっと複雑化・深刻化していて、展望がなにもないことは痛感した。まだ4月5月のメイン撮影時の方が、先が見えないなりの楽観性とは言わずとも、「負けてたまるか」的なものがあった。 我々は避難所では撮影は一切していない(これは最初から決めていた方針だ。あまりに失礼に思えたし、いい画が撮れるとも思えなかった)。だがそれでも8月に取材した際には、5ヶ月6ヶ月と続いた「避難所暮し」が