水素脆化(すいそぜいか、水素ぜい化、英語: hydrogen embrittlement)とは、鋼材中に吸収された水素により鋼材の強度(延性または靭性)が低下する現象のこと。 概要[編集] 全ての金属材料が水素侵入により誘発する金属強度の劣化現象である[1]。水素脆性、水素もろさともよばれる[1]。水素特有の現象として存在しているのは水素イオンの大きさが直径1fmと非常に小さく、通常の原子やイオンの直径0.1nmに対して10万分の1の大きさしかない陽イオンである為、自由電子を有する金属結合内に容易に侵入し拡散してしまうからである。その結果、水素は金属材料では扱い難い物質となっている。 水素脆化は、腐食、溶接、酸洗い、電気メッキなどによる水素吸収が原因とされる。この水素吸収による破壊は「遅れ破壊」とも呼ばれる。水素脆性破壊は、結晶粒界、引張り応力のかかる箇所、応力の集中する部分で起こりやすい