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tanpen.jp66に関するkitsのブックマーク (19)

  • 車内の吐息 - 短編 第66期 #19

    作者: 櫻 愛美 ウェブサイト: 桃色の櫻 散る 文字数: 999 「発車致します。扉が閉まりますので、お足元にご注意下さい」 窮屈。朝の通勤通学ラッシュの電車に、彼女は乗っていた。立っている隙間もほとんどない状態だ。 セーラー服の彼女は、閉まる扉に挟まれるかもしれない……そこに立っている。 「ちょっと待ってくれ!」 全力疾走で駆けてくる足音が、大声と共に響き渡る。 若い男。今風の着こなしのチャラい男だ。 「ちょい、失礼すんで」 彼女は男に押され、余計窮屈になった。彼女の顔が思わず歪む。まあ仕方ないのだが。 男が乗った瞬間、扉が音を立てて閉まった。電車がゆっくりと加速する。 男は扉にすがり、手に握っていたイヤホンを耳元に近づけた。 この状況が分かるか。 彼女は精一杯の力を両足に込めた。少しでも足を崩せば……。 こういう状況だからこそ、電車は意地悪をする。曲がる線路で、電車が揺れた。彼女の背

    kits
    kits 2008/03/23
    この恥ずかしさはわるくないと思います。
  • 仮面少女 - 短編 第66期 #18

    作者: 壱倉柊 ウェブサイト: 遊撃デルタ 文字数: 1000 看板ヒロインのレーコと笑顔でお別れすると、ゆっくり画面は暗くなり、やがてエンディングテーマが流れ、ついでスタッフロールが流れてきた。その時になってようやく微かに緊張していた空気が緩み、パソコンの前に居座った男達は大袈裟に溜息をついた。僕も曲げっぱなしだった腰を捻った。 「やっぱり音楽がいいな。BGMの力が大きい」 製作総指揮のDaigoさんが欠伸を噛み殺しながら言う。 「お手柄ですね、橋さん」 「や、所詮僕はRINさんの歌に曲もつけられなかった男ですから」 そう言いながら指先で髭を弄ぶのはコンポーザーのハッシー田さん、もとい橋さん。 「とりあえず皆お疲れさん。なんとか予定通りにはいけそうだ」 宣伝のみやぽんさんが安堵の笑みを浮かべ、机上にコーヒーを置いた。 「あ、みやさん、やはり今日も寝かせないぞと、そういうことですか」

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    kits 2008/03/23
    はたらく人たち、っていう感じですね。
  • 海退 - 短編 第66期 #17

    作者: 川野佑己 ウェブサイト: ツンドラ 文字数: 1000 ○予選通過作品 勤めていたカメラ屋に長い休暇の届けを出して、海に向かった。何日か何週間後か判らないが、海に足を浸すことができれば、すぐにも帰ると書き残してきた。了承を得られたかどうかは判らないが、一応、帰るべき場所はある。遠い海に続く幹線道路に立つと、時々、荷台にドラムバッグを括り付けた原付などが通り過ぎるのみで、乗せてもらおうと親指を立てても大きく手を振り返されて終わる。舗装路に薄く積もった灰色の砂埃が、原付のタイヤにまとわりついて離れないのを見る。遠ざかるエンジン音が正体不明の羽虫のようだと思い、鼻孔をくすぐられ当の羽虫がいることに気付いた。静かに呼吸をする。 僕が長らく自宅と職場に引き籠っていた間、季節は緩やかに巡り、薄日の射す天候が続きながらも木の葉は徐々に色づき、同時に海岸線は遠のいていった。漠然とした心持で遠くの

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    kits 2008/03/23
    しゃれた休暇届だ。
  • 糞の礼 - 短編 第66期 #16

    第66期 #16 糞の礼 作者: qbc ウェブサイト: ツイッター 文字数: 1000 (この作品は削除されました) Twitterに呟く はてなブックマークに追加 予選時の票(2) 編集: 短編

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    kits 2008/03/21
    金銭でも物でもそんなに変わらない気がする。
  • 右手と左手の会話(ソナタ形式) - 短編 第66期 #15

    作者: ロチェスター 文字数: 1000 ● 目覚まし時計のベルが鳴ったよ。 (でるりらでん) いや電話のベルだったかな、いいや、いいや、時計でも電話でもないかもしれないな。 それなら一体なんなんだ。 ほら。 (どるでぇりどん。じょるじぇりじょん) 響きがとまらないよ。 蜂の音かもしれないぜ。 (ぶううん。ぶんぶんぶん。びゅうんびゅん。じゅうんじゅん、でゅうんでゅん) ほら、蜂の音かもしれないぜ。 刺されるのかな。 どうだろう、それは君の心がけ次第かもしれないな。何か悪いことしたんだろう。 したよ。 何をしたんだい。 さあ。 (すっとこどっこい!) あれれ。 音が大きくなってないか。 (ずるっどんアジャパー) ん? アジャパーって聞こえなかったか。 (どぅびちょんジャンパー) ジャンパーだったぜ。 ベルでも蜂でもなかったのかな。もうどうでもよくなってきたよ。 よかないよ。 ● ねえ。 なん

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    kits 2008/03/21
    コメントが思いつかず。
  • 擬装☆少女 千字一時物語24 - 短編 第66期 #14

    作者: 黒田皐月 ウェブサイト: 邪装空間 文字数: 1000 三月二十一日、午後四時。早咲きの桜の花が散るのを見ながら俺は、終わりというものはいつか来るものなのだと、時の経過を想う。 今日は、卒業の日。 「もう、それを見ることはないんだな」 我ながら抑揚のない声だ。しかしこれは決して無表情などではない。感慨あり、安堵あり、懐疑あり、そんな雑多な気持ちが混然として、どのような形もとれないのだ。 「うん」 窓辺に佇んでいる奴は、桜の花の色に似た明るさで、俺に背を向けたまま、頷いた。見ているものが映りこむ濁りのない大きな目はまっすぐに窓の外を向き、散る花びらよりもみずみずしく血色の良い唇は緩く閉じられている。今日は特に何かをしたのではない。ただ散歩に行き、帰ってきただけだ。しかし奴は今、とても幸せそうだ。それが間もなく、終わる。 「付き合ってくれて、ありがと」 一転、奴の声が寂しさを滲ませたよ

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    kits 2008/03/21
    「そんな俺たちを祝福」ということは祝福されるような仲ということなのでしょうか。
  • アイ ウォント ユー - 短編 第66期 #13

    作者: 田中彼方 ウェブサイト: Cleaning room 文字数: 1000 月明かりが窓の外から照らすーーそんな表現は終始明るいこの都会では大袈裟かもしれないが、満月の日の暗い部屋からは月の光が妙に眩しかった。デジタル式の時計を見ると、午前二時を過ぎたばかり。まだ、始めて触った彼の感触を手のひらに覚えている。記念すべき二人きりで過ごす始めての夜。少し小さくなった彼は、話しかけても何も言わなかった。 クラスメイト。少し前までの私と彼の関係はそれ以上でも以下でもなかったと思う。お互いに住む世界が違いすぎた。 常にクラスの中心で大勢の友人に囲まれる彼と、教師にさえ必要最小限の会話の時以外は存在しないかのように扱われる私。 二日に一回は告白される、整った顔立ちの彼と、鏡を見る度に激しい自己嫌悪に襲われる、不細工で醜い私。 私を女、つまり異性として接してくれた男はいただろうか。彼が持っているも

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    kits 2008/03/21
    体だけが目的だったのね! とか言ってみたり。/ 二日に一回はすごい。
  • らくだと全ての夢の果て - 短編 第66期 #12

    作者: 新井 文字数: 853 ○予選通過作品 天の川輝く零下10度の砂漠の夜。いつものキャラバンで、友達のラクダと一緒に寝る。名前は知らない。聞き取れなかったから、それで良いと思った。夜には一枚の毛布をかぶり、ラクダが私を後ろ足と胴の間に抱き込んでくっついて寝る。まどろみつつ私はラクダに話しかける。このラクダはなかなか詩人なのだ。 「何か話してくれよ」 (では水の話をしよう) 水?めったに飲まないじゃないか (そう水はこの地には無い) (この地にある水は全て天に召されたのだ) 「雲のことかい?」 (いいや) (今も見えるだろう天にかかるあの大きな光の川を) (あれは天上の水が凍ったものだ) (水晶のような氷が生きとし生ける者の夢の光を反射して) (光っている) (そう思うと 乾いたこの地を誇りに思える) (おかげで私達はあんなに美しい夢の光が見れる) (ありがたいことだ) (ありがたいこ

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    kits 2008/03/21
    らくだよ……
  • 小あじの南蛮漬け - 短編 第66期 #11

    作者: 長月夕子 ウェブサイト: 長月夕子 文字数: 991 ○予選通過作品 冷戦は三日目に突入した。今朝のメニューは舌がしびれるほど辛い塩鮭と、皮付きナスの味噌汁(味噌汁の色が変わるから嫌だとの夫の言い分)、甘いホウレン草は嫌いという声にお答えし、あえて胡麻和え。どうだと言わんばかしに並べた朝を、夫は顔色変えずに粛々と平らげ、「ごちそうさま」と言うと器をシンクに置き、鏡の前でネクタイの結び目を確認し、スーツを着込みカバンを提げて「いってきます」といつものように出かけていった。面白くない。嫌味が嫌味として通じず、元凶である犬は自分のクッションの上で朝寝ときている。私はむやみに腹が立ってクッションをだるま落としのように横から引き抜いた。体重3キロ満たない犬は転がり、恨めしそうに私を見たが、すぐソファへ移動してすやすやと眠り始める。飼い主に似て嫌な性格だ。大体夫の性格は細かすぎる。洗濯ばさ

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    kits 2008/03/21
    ただの料理の情景のはず、と自分に言い聞かせてみたり。/ コテツいい迷惑。:-)
  • Corruption of the best becomes the worst - 短編 第66期 #10

    作者: 崎村 ウェブサイト: サリアティ 文字数: 978 気付くのが遅かった。当たり前だけれども、私には見えない世界があって、私に構わず日々変化している。私だけがそれに気付かずに、ぽつんと残されていた。もっと早くに消えていれば、傷付かなくていいこともあったのかもしれないし、何も知らないままで良かったのかもしれない。 私が「死にたい」と伝えた時、彼は表面上では引き止めはしたものの、表情は明るかった。そこで、私は決心した。 「その睡眠薬は効くのかな? 苦しまないといいけど……」 彼はのんびりした声で言う。 私は少し焦りながら、手のひらに持てるだけ白い錠剤を。彼は時計をちらりと気にしながら、グラスに冷たい水を。そのきれいな指を見て、ふと思う。もし、この人を当に好きになれていたなら、何かが変わっていたかもしれない、と有り得ないことを今更。 彼は水がたっぷりと入ったそのグラスの片方を私のほうへ丁

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    kits 2008/03/21
    なぜわざわざ見届けていこうとしたのだろう。>彼
  • ひつじ雲 - 短編 第66期 #9

    作者: 白縫 ウェブサイト: http://shiraisa.seesaa.net/ 文字数: 999 お手洗いのパパを待つうちにアイスが溶けて、べしゃって地面に落ちた。パパは泣きじゃくるあたしに「新しいの買って帰ろう」と言って頭を撫でた。あたしのパパは世界一だ。 遊園地の帰り道、あたしとパパは手をつないで他愛のない話をする。また行こうねって。そう言うとパパは笑うけど、傍目には悲しそうに見えてて、でもそんなことないって知ってる。前に長く伸びた影や夕暮れの永遠みたいな時間がパパをそんな風に見せるのだ。あたしとパパをつなぐ手が、歩くリズムでぶらぶらと揺れる、そんな気怠さがいい。 パパの無口さは男らしくて素敵だ。歩きながらあたしが話すのは、例えば友達が面白いって言ってたアトラクションがそうでもなかったことや、パレードが子供っぽくて冷めたこと(でも楽しかった、って言う。当のことだから)。パパはあ

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    kits 2008/03/21
    「あたし」に何があったのだろう。
  • 舌鼓 - 短編 第66期 #8

    作者: bear's Son 文字数: 1000 乗馬の扶助に舌鼓(ぜっこ)というものがある。 舌を上顎に付けながら息を出し、チッチッチという音をさせて馬を誘導する。 21歳の春。 煙草を吸わず自動車の運転もしない僕は、大学に入ってからの3年間のバイト代が通帳に貯まっていた。 友人たちの間では就職活動が始まっていた。僕は進路を決めなくてはならないことにためらいがあった。 それより今しかできないことをしておきたかった。 皆が会社説明会に行き始めた頃、僕は乗馬クラブの会員になった。 昔から動物が好きだった。家にはチビという名の柴犬がいる。 乗馬クラブには乗馬用に調教された、引退した競走馬たちがいた。乗馬専用に開発された馬は日には少ない。 成績を残せず種牡馬になれなかった牡馬や、買い手のいなかった牝馬たちが集まってくる。牡馬の多くは乗馬になる時、気勢を抑えるために去勢される。競馬会での行き場を

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    kits 2008/03/21
    「夏の間は日照りをさけて」というところに反感を覚えてみたり。/ そういえば「舌鼓」という作品もあった。 http://tanpen.jp/12/11.html
  • たけしの観照(3+9=?) - 短編 第66期 #7

    作者: 宇加谷 研一郎 ウェブサイト: kenichiro_u's stories 文字数: 1000 「玲ちゃん」 「なに」 「知りたい?」 「は?」 「わしの全部」 「なんでも知ってるわ」 「ちゃうねん。古い話のことや」 「どうでもええわ」 「知りたないん?」 「知りたない」 「おもろい話やで」 「ひとのお金とってた話なんか聞きたない」 玲子は段々イライラしながら、枝豆を口にほりこむ。夫の剛が昔チンピラだったことは玲子には関係ない。足を洗った、きれいさっぱりや、といった言葉を玲子は信じた。なのに、剛は昔話をする。 「玲ちゃん、あの話とちゃうんやで」 「じゃあ何」 「わしのおじさん、NASAにおるねんよ」 「ナサ?」 「宇宙の」 「え」 「知らんかったやろ」 「うん」 「わし昔、おじさん訪ねて東京行ったことあんねや。牛丼おごってくれてな。わし悩める青年やってん」 「ふーん」 「おじさんも

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    kits 2008/03/21
    他の話とからまないやつを読んでみたい
  • 求ム、 - 短編 第66期 #6

    作者: 翻車魚 ウェブサイト: 大きな楡の木の下で 文字数: 1000 玩具や電化製品にはたいてい説明書がついている。ああいうものがほしい、と強く思った。馬が合わない上司と上手に付き合う方法を教えてくれる何か。説明書ならば出会い方から明記してあるに違いない。第一印象で重要なことや注意点、相手の反応の傾向と対策も。 出会いが悪かったような気がする。失敗して初めて直に会話した。双方に過失があったのだが、相手は腐っても上司、頭を上げてはいけない。 悪い人じゃあないんだけど、と互いに感じているはずだった。信頼していないわけではないし、能力も認めている。しかしどうしても必要以上に構えてしまう。だからなかなか会話ができない。 たとえばその上司から「おいしいお菓子をあげるよ。でもみんなの分があるわけではないから、此処にいる人にだけ」と高級そうな菓子を賜ったとする。当ならばすぐに頂戴して礼を言えば済むの

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    kits 2008/03/21
    考えすぎではないだろうか。
  • ナレーション - 短編 第66期 #5

    作者: K ウェブサイト: 自同律の不可解 文字数: 1000 やんや、ささ、ええ、そのようにしてこうしているわけでございまして、他に何の理由も無いのでございます。部屋の中には男がひとり倒れており、うつ伏せに倒れこんだ頭部の辺りからは血が流れだしておるのです。今のところそれだけでございます。がらんとした部屋には一見すると、他には何も無いような気さえいたします。いやいやさ、そんなことなどございません。そこにはテーブルも、テレビも、カーテンもありませんが、それらが無いことが「何も無い」で済まされる道理は見当たらないのでございます。「何も無い」ことなどございません。壁面はコンクリートでしょうか、電気も無い部屋でありますので、冷たい印象を与えることは間違いがないでしょう、小さな窓から明かりがうっすら差し込んでおりまして、一目には朝か昼か夕方なのか、判然とはしません、ああ、時間は過ぎてまいります。こ

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    kits 2008/03/21
    #2とかぶりましたね。
  • 追い風 - 短編 第66期 #4

    作者: ハコ 文字数: 1000 最近とにかく追い風が強い。ベッドの中でも強かった。その風は透明でもなく、だからって口で言える色もなく匂いもなくて、乾いてもいなかった。もちろん、掴める訳がない。だから、分析することもできない。精神科に行く。正常だから心配するなと医者は云う。神経科にも行った。眼科にも行った。 ――耳鼻咽喉科? 医者の誰もがみんな、がっかり“あー”と溜息ついて笑っていた。 「あー」 通勤の車の中でも強かった。閉め切って、エアコンだってつけてない。FMから演歌が流れる。勘が働いてこれではないかとボリュームを下げる。やっぱり風は強かった。 ――諦めて音量を上げる。 髪がなびいてイライラした。 「あー」 ボーナスが出たので、顕微鏡を買った。風呂場で髪を切って睨んでみた。見えたって、フケでしかない。驚いても白髪でしかない。何観ても、結果はまったく変わらない。 ――恋人に相談した。

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    kits 2008/03/21
    あー
  • 淑女渇望 - 短編 第66期 #3

    作者: 柊葉一 文字数: 943 パパとママとフィアンセのレスマンが死んだ、と聞かされたのは、二日前のこと。グランマは大慌てで私の寝室に駆け込んできて私にそう伝えるや否や、私のベッドに倒れるようにして泣き崩れた。家が燃えてしまったのだと、あとから使用人のマリアンに聞かされた。そして家に火を付けたのが、幼馴染みのマーカスだったということを、葬儀の報告に来た叔父様が教えてくれた。 私が郊外にある別荘のベッドの上で休んでいる間に、総ては起こって、そして終わってしまった。愛しいグランマはショックで寝込んでしまっているらしい。使用人たちも私に気を使ってか、あまり私の居る部屋には近づかなくなった。 パパとママと、レスマン。 最後に会ったときケンカをして、ひどいことを言ってしまったのに、もう謝ることもできない。ただ私はマーカスを馬鹿にされるのが嫌だっただけなのに。最後まで分かりあうことはできなかった。

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    kits 2008/03/21
    なんで火をつけたんだろう。
  • 世界一短い推理小説(千字ver) - 短編 第66期 #2

    作者: Et.was 文字数: 1000 私の書斎、雑多なの中に厚いハードカバーに“世界一短い推理小説”と題されたがある。そのカバーの間には紙が三枚挟まれているだけで、しかも、二枚は内側のカバーであった。つまりは文の書かれているのは更にその間の一枚と言うことである。 そして、文にはたった一行、こう書かれている。 「その日の午後二時、T.Nは何故あのように殺されたのだろうか。」 を隅々まで見回したところで他には何も書かれていない。 私はこのを深く読み解きながら推理した。 T.Nという人物が殺された。その理由が“何故”か分からないのは、彼が穏やかで誰からも恨まれないような人物であったためだろう。 それから、この犯行は物取りの線ではないに相違なかった。 という事は、通り魔か何かの仕業だろうか? いや、違う。それならばそもそも“何故”と言う必要がない。それに、書くならば“殺されたのか”

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    kits 2008/03/21
    製本が難しそうだ。
  • 夏の動物 - 短編 第66期 #1

    作者: 森 綾乃 ウェブサイト: La Girafe Verte 文字数: 991 街は、夏の予感で満ちている。夕方の風を切る、女たちの白い足が眩しい。天球が小さく破れ、そっと明かりの漏れたような、ささやかな月だった。私は、低いビル郡の隙間、薄闇色の空に浮かぶそれを、爪先で押しこみ、遊んでいた。 「お茶しませんか」 三十がらみの、背の高いスーツの男。あまりに捻りのない言葉と、鈍く光る眼に、興味を持つ。衝撃!付いて行った女の末路とは?―――これでは、結果の知れた理科の実験と変わらない。名を尋ねられ、適当に答える。苗字は、高校生のとき予備校で出会い、少しだけ好きだった男の子から盗んだ。 男に連れられ、紅茶専門店の喫茶スペースに入る。カントリー調の内装。ショーケースの中には、ゼラチンで輝く苺のタルトも、表面を焦がしたチョコレートプティングもある。差し向かいに座る男の、長いまつげに縁取られた眼、頬

    kits
    kits 2008/03/21
    日本には休暇で来ているのだろうか。>男
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