2011年3月11日14時46分。ベガルタ仙台の監督だった手倉森誠はホーム開幕戦に向けて、クラブハウスで対戦相手のスカウティングに没頭していた 【宇都宮徹壱】 その日も、いつもと変わらぬ金曜日となるはずだった。 鹿島アントラーズの小笠原満男は、翌日の清水エスパルスとのアウェー戦に向けて、チームバスで移動中だった。Jリーグチェアマンの大東和美は、東京・御茶ノ水にあるJFAハウスの9階で執務中。ベガルタ仙台の監督、手倉森誠はホーム開幕戦に向けて、クラブハウスで対戦相手のスカウティングに没頭していた。2011年シーズンのJリーグは、1週間前の3月5日に開幕したばかり。選手、スタッフ、そしてJリーグ関係者。さまざまな立場の人々が、翌日の試合に向けて準備をしていた14時46分、東日本が揺れた──。 「最初に揺れを感じたとき『どうせすぐ止むだろう』と思っていたんです。それが尋常な揺れでないと気付いたと