「先生、私は人を殺しませんよね」 その方は泣かれた。 「大丈夫!」 私は、支えた。 箱庭療法をやっている間中、その箱庭の中でありとあらゆるシチュエーションで両親を殺し続けた方 家具が飛び、服をズタズタに切り刻み、包丁を構える日々… 秋葉原の事件が不安の影を落としていた。 自分は間違っていなかったと深く安堵された。 これからハラスメント・ワールドからの離脱に向けての作業が始まる…。 ---------------------------------------------------- 長いカウンセリングから帰ると、電話があった。 赤信号でつっこんできた車に親友を奪われた過去を持つ。 自殺して天国から追い返されたその方は、秋葉原の犯人と被害者の両方の気持ちが分かり、さらに先の見えない孤独が深まる事が重なって虚無が襲う中、それでも前を向こうとされている。 「大丈夫!正しい位置に来ている」 私は