衣服を箪笥に入れる女性が彫られた古代ギリシャのレリーフ(紀元前5世紀)。(BRIDGEMAN/ACI) 古代ギリシャの女性たちはどんな役割をもち、どんな暮らしをしていたのか。近年の研究で、新たな一面が明らかになりつつある。 従来、強調されてきたのは、彼女らの生活がいかに制限され、隠されていたかということだった。女性たちは公的な場から排除され、市民権を認められず、法的・政治的な地位もなかった。「ポリス(都市国家)」から排除され、妻、母、娘として「オイコス(家)」に押し込まれていたと考えられていた。 こうした見方の根拠となったのは、古代ギリシャの古典文献だ。クセノフォン、プラトン、トゥキディデスは、女性は男性よりも劣っていると語っていた。アリストテレスの『政治学』にも、本質的に男性は優れていて、女性は劣っており、男性は支配者であり女性は臣下であると記されている。 これらの文章の多くは、女性に対
Published 2021/03/03 07:30 (JST) Updated 2021/03/04 12:02 (JST) 森喜朗氏の性差別発言に始まった騒動は、東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に橋本聖子氏が就任して、ひとまず沈静化した。東京都知事は小池百合子氏、政府の五輪担当相は丸川珠代氏と、五輪トップの3人が女性となって、さらに、組織委理事に占める女性の割合を、現状の2割(35人中7人)から4割以上に増やすという。 ところが早くも、ほころびが出た。男女共同参画相を兼ねる丸川珠代氏が、自民党国会議員有志と連名で、自民党所属の県議会議長らに宛てて、選択的夫婦別姓制度導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書を送っていたことが明るみに出た。言論弾圧ともいえる行為であり、男女平等にも背を向けている。こんな人が男女共同参画担当相の椅子に座っていていいのだろうか。(女性史研究者・
ジェンダーSF文学としての最高傑作『大奥』――萩尾望都、山岸凉子、アトウッド、そしてよしながふみの文脈―― ※こちら『大奥』最終巻を読んでの感想になりますので、盛大にネタバレしてます。ご注意ください~。この記事を加筆修正した文章が『女の子の謎をとく』という書籍に収録されています! よければぜひ。 「私たちはなぜ産む性として生まれてきたのか」。 ジェンダーSF文学作品がずっと考えてきたのは、その解けない疑問だった。 萩尾望都が、山岸凉子が、マーガレット・アトウッドが、そしてよしながふみが、そして彼女たちの作品の読者が、ずっと考え続けてきた問いだろう。 はじめによしながふみの『大奥』が完結した。全19巻、圧巻の結末だった。 『大奥』の物語が始まるのは、徳川家光が将軍だった時代。赤面疱瘡という疫病が流行り、若い男性人口が激減する。男性はおよそ5人に1人しかいないという時代になった日本では、将軍も
婦人参政権・楠瀬喜多 伝 楠瀬 喜多(くすのせ きた) 天保7年(1836年) - 大正9年(1920年) 喜多は天保7年(1836年)米穀商の娘として生まれました。日本の婦人参政権の草分け的存在で、後に「民権ばあさん」と呼ばれるようになりました。21歳の時、土佐藩剣道師範楠瀬実と結婚しますが、17年後・喜多38歳の時に死別。 明治11年(1878年)、区会議員の選挙で「戸主として納税しているのに、女だから選挙権がないというのはおかしい。 本来義務と権利は両立するのがものの道理、選挙権がないなら納税しない。」と県に抗議。しかし県は規則だと要求を受け入れず、喜多は内務省に訴え出たのでした。 これは婦人参政権運動の初めての実力行使となり、全国紙大坂日報、東京日日新聞などでも報道されました。 明治13年(1880年)9月20日、 明治維新からわずか13年後、上町町会の3ヶ月にわたる抗議行動に県令
明治36年2月から9月まで読売新聞に小説「魔風恋風」が連載されました。ヒロイン萩野初野が颯爽と自転車で現れるところから話は始まります。「鈴の音高く、現れたのはすらりとした肩の滑り、デートン色の自転車に海老茶の袴、髪は結流しにして、白リボン清く、着物は矢絣の風通、袖長ければ風になびいて、色美しく品高き十八九の令嬢である。」(写真1) 写真1 明治36年2月から9月まで読売新聞に連載された小杉天外の小説「魔風恋風」が同年11月に単行本として出版されました。この絵は小説に登場する令嬢をイメージして描いたもので挿絵として単行本に組み込まれているものです。 この可憐な乙女が自転車に乗る姿が流行となり、その姿が当時の様々な広告に使われました。(写真2・3) 写真2 明治37年の染物屋のチラシです。 写真3 明治38年頃の古着屋と金物屋の共同チラシです。いずれも写真1の挿絵の影響を受けていることがわかり
林博史・関東学院大学教授 「慰安婦」はいなかったとする「否定派」の主張を、資料の検証や元「慰安婦」の聞き取りを行っている歴史学者、政治学者らが反証し、問題の争点を浮上させた映画『主戦場』。4月から上映している東京・渋谷の映画館イメージフォーラムではいまなお終映日未定のロングランとなっており、現代ではアンタッチャブルとなりつつあった「慰安婦」問題への関心が高まっている。 また、現在開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展「表現の不自由展・その後」で展示されていた少女像(※1)について批判が殺到、脅迫やテロを予告するようなファクス・電話が相次いだため、展示開始からわずか3日で同企画展自体が中止となった。これついては、「表現の自由」の制限のみならず、歴史を歪曲する動きが表出したことも懸念すべき点だといえよう。それを裏付けるように、大阪市の松井一郎市長は8月5日に記者団に対し、
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