WOWOWが2013年にスタートさせた企画「吹替補完版」。かつて地上波のTVで放送された日本語吹替版は、放送時間の制約からシーンをカットして再編集されたものが多い。そこで、可能な限り当時の声優にカットされたシーンを演じてもらって収録し、「完全ノーカット」で放送するのが「吹替補完版」だ。企画の発起人であるWOWOW映画部・小野秀樹さんと、現在企画を担当している若手社員の冨永哲平さんに想いを聞いた。 取材・文=村山章 偶然の会話から生まれた「吹替補完プロジェクト」 ――地上波TVでの映画放送で育った世代にはとてもうれしい企画ですが、冨永さんはいつ頃から関わっていらっしゃいますか? 冨永「自分は2019年にWOWOWに入社して、映画部に配属になったんです。最初に担当したのが、メジャースタジオから購入する映画について、字幕や吹替の素材を集めて、当社で放送できるフォーマットに整えていく作業でした。当