うまい焼き鳥はいくらでもありますが、冷ました状態で比べたら、僕は、国技館の焼き鳥が世界一うまいと思います。 正肉3本とつくね2本が入った小箱が650円。その味は――。 しこっとした歯ごたえで、秘伝のタレを4度も漬け焼きした香ばしい香りが、ふわーっと鼻に抜けます。かみしめると、じゅわっ、じゅわっと、うまみがしみ出すんです。あぁ、ビールが欲しくなってきました。 この焼き鳥。実は、国技館の自家製なんです。地下1階にある「焼き鳥工場」で、1場所平均5万本を朝の5時から焼き続けています。 国技館が隅田川の向こう岸の蔵前にあった頃は、正面の木戸脇で焼いていました。力士のしこ名を染め抜いたのぼりの間を、炭火で焼かれた香ばしい香りが漂う。そんな光景が、東京場所の風物詩だったそうです。いまは遠赤外線で焼き上げていますが、味は蔵前時代と変わらないそうです。 焼き鳥工場での工程を、そっとお教えしましょう。 まず