法事やお盆になると墓に立てられる卒塔婆(そとば)。先祖の戒名やお経が書かれた細長い木の板だ。いま、ドイツなど外国産がほとんどだという。なぜなのか。 古代ローマ人が「黒い森」と呼んだドイツ南部のシュバルツバルト地域。木々がうっそうと連なる、のどかな山あいの製材所「エシュテル」の工場に、厚さ1センチ、幅10センチ、長さ1メートルほどに切られた木の板が天井近くまで積み上がっていた。 「ここにあるのはすべて日本向け。12年ほど前、日本人が買い付けに来てから作り始めました」と社長のマヌエル・エシュテルさんは説明する。板の素材は、トウヒと呼ばれるドイツでポピュラーな針葉樹だ。直径50センチにもなる大木から切り出す。木肌が白くて美しく、木特有のにおいも少ない。棺おけやかまぼこの板としても引き合いがある。年間、卒塔婆約150万本分を輸出しているという。 全国有数の卒塔婆の産地、東京都日の出町で年間200万