たった1つのアプリに世界中が狂喜乱舞している。スマートフォン(スマホ)向けゲームアプリの「ポケモンGO」だ。これを「たかがゲーム」と侮ってはいけない。かつて、これほどまでに短期間、かつ広範囲に普及したサービスはない。そして、これほど「人を移動させた」サービスも。ポケモンGOが生んだ新たなうねりは今後、多くの企業や組織のマーケティングのあり方を変えるだろう。 日経ビジネス8月22日号特集「世界を変えるポケモンGO これから起こる革新の本質」では、人々を一気に外へと連れ出した威力に着目し、ビジネスや地方創生に生かそうとする動きを中心に追った。特集連動のウェブ連載初回は、前代未聞の爆発力を生んだ日米協業の知られざる舞台裏に迫る。 ポケモンGOを開発・配信するのは、米グーグルから昨年10月に独立したベンチャーのナイアンティック。位置情報を活用したスマホ向けゲームアプリ「Ingress(イングレス)
日本でも大人気のモバイルゲームIngress。また今や全世界で社会現象となっているポケモンGO。この二つのゲームを開発するのがサンフランシスコに居を構えるNiantic, Inc.です。前回から二週に渡り、このNiantic, Inc.で活躍するデザイナーの川島優志さんにお話を伺いました。 成長するための環境づくり 川島 高(以下、高):どうやって学び、成長していくのか。仕事をする上でだけではなく、人生を通しての大事なテーマです。僕は学ぶために、まず自分が身を置く環境を意識することが重要だと思っています。 人間の適応能力は、きっと自分たちが考えているよりも本能的に備わっていると思うんです。自分には場違いだと思えるような場所や環境でも、そこで1年位もまれているとある程度慣れてくる。知らないことが多ければ多いほど、逆に言えば吸収できることが多い訳で、そういう環境に進んで身を置くことで、ものすご
7月21日から米サンディエゴで開催された「コミコン2016」。世界最大級のオタクの祭典といわれるこのイベントを今年、大席巻したのがポケモンGOだ。会場ではポケモン関連のコスプレの来場者たちがスマホの画面を覗き込み、捕獲したモンスターを見せ合っていた。筆者はその会場で、ポケモンGOを開発したナイアンティック社のジョン・ハンケCEOに話を聞いた。 「彼らもプレイしてるよ」と49歳のハンケは、歩きスマホのカップルを見て笑った。「あのリュックを背負った男性や、向こうに座っている集団もそうだな」と彼はうれしそうに話した。 ポケモンGOは、記録的大ヒットになり米国人の10人に1人が毎日プレイしている。調査会社サーベイモンキーは米国内だけで1日600万ドル(約6.2億円)の売上と推測する。ヒラリー・クリントンは演説の中でポケモンGOについて触れ、ジャスティン・ビーバーはニューヨークのセントラル・パークで
スマートフォン向けのゲーム「ポケモンGO」の配信が、ついに日本でも始まった。7月22日(金曜日)午前10時過ぎにダウンロードが始まると瞬く間にユーザーが殺到。政府が歩きスマホをしないよう注意喚起するほど人気を集めている。無理もない。日本発のゲームながら、米国などから2週間も遅れてのリリースとなった。ファンからすれば、待望のゲームがやっと日本でも遊べるようになった。 ポケモンGOは位置ゲームの1種だ。スマホを含め携帯電話は基地局からの位置情報やGPSを利用して自らの位置を常に把握している。その位置情報を利用して、今いる場所でしか手に入らないアイテムを入手したり、移動距離に応じてポイントを得たりしてゲームを進めていく。 位置ゲームは日本で発展したと言っても過言ではない。2000年以降、まだガラケー時代から位置情報を利用したゲームが登場。代表格が2003年に発表され、今も人気がある「コロニーな生
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