安倍晋三首相の特使として訪露しプーチン大統領と会談した森喜朗・元首相は、どのようなメッセージをロシア側に伝え、どんな反応を得たのか。対ロシア外交の第一線で活躍してきた佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の解説である。 * * * 2月20~22日、安倍晋三首相の親書を携行し、首相特使として森喜朗元首相が訪露した。森氏は、ロシアのプーチン大統領と最も親しい日本の政治家だ。森氏が対露外交に強い思いを持っていることは、22日にモスクワ国際関係大学(MGIMO)で行なわれた講演の結びで、こう述べているところに端的に表われている。 「雄大な歴史観と高度な思想をもって領土問題を解決し、懸案の日ロ平和条約を締結し、その上に立って、日ロ間の政治、経済、学術、技術、文化、スポーツ、あらゆる分野での交流を飛躍的に進展させ、しかも世界の平和と発展に寄与する、これが私の生涯の最後の仕事だと心に定めています。それを