「マグロは抜きますか」。スシ好きのフランス人と日本レストランで「握り」を注文したら、日本人のウエイター氏がこう尋ねてきた。「えッ? トロは気持ち悪くて嫌いだけれど、赤身は好きよ」と私が答えると、「フランス人の中にはマグロを絶滅の危機から救うために抜いてくれと言う人がいるので」と言う。 なるほどね。カタールのドーハで3月に開かれるワシントン条約の第15回締約国会議で乱獲のため絶滅の恐れがある大西洋・地中海産クロマグロの国際取引禁止を求めるとのモナコ提案を、フランスが支持すると発表して以来、乱獲の元凶は「スシ」にあるといったニュースがテレビなどで派手に取り上げられている。 モナコが昨年10月にこの提案をしたときに欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は支持を表明したものの、主要なマグロ漁国のフランス、イタリア、スペインは反対していた。 ところが、イタリアが1月下旬に支持に転じたのに続き、フ